日本大百科全書(ニッポニカ) 「はかなき人生」の意味・わかりやすい解説
はかなき人生
はかなきじんせい
La vida breve
スペインの作曲家ファリャのオペラ。2幕4場。1905年完成、13年ニースで初演され、彼の出世作となった。カルロス・フェルナンド・シャウのスペイン語台本は、1900年ごろのグラナダが舞台。主人公サルーは若く美しいロマ(かつてはジプシーとよばれた)の娘で、スペイン人の若者パコと恋仲にあったが、彼は同じスペイン人の娘カルメーラと結婚してしまう。サルーの伯父は彼女を連れて婚礼の宴に乗り込み、パコの裏切りをなじるが、彼に拒絶され、彼女は恋人の名を呼びながら身を投げて息絶えるという悲恋物語。音楽は民族的な色彩がきわめて強く、とりわけ第2幕冒頭の「スペイン舞曲」が有名である。日本初演は1958年(昭和33)藤原歌劇団。
[三宅幸夫]