改訂新版 世界大百科事典 「ハコガメ」の意味・わかりやすい解説
ハコガメ (箱亀)
box turtle
ヌマガメ科に属するカメのうち,腹甲の中央部がちょうつがい式に連結したものの総称。ハコガメ類はアジアに5属9種,北アメリカに2属6種が分布する。ハコガメの特徴は腹甲の胸甲板と腹甲板とがちょうつがいhingeで可動的に連結していることで,驚くと頭頸(とうけい)部,四肢,尾部を甲内に引っ込めたあと,腹甲の前・後半部をもち上げて,甲の隙間にぴったりとふたをしてしまう。石垣島,西表島,台湾,中国に分布するセマルハコガメCistoclemmys flavomarginataは甲長14~17cm,背甲はやや高く,陸生で森林の湿った場所に多い。雑食性で餌は昆虫,ミミズ,果実など。天然記念物。中国南部,東南アジアには形態,生態ともにセマルハコガメに似たアジアハコガメ属Cuora4種を産し,北アメリカには背甲が高くてまるいアメリカハコガメ属Terrapene4種を産する。その代表はアメリカハコガメT.carolina carolinaで,甲長19cm,水辺の地上にすみ,昆虫,ミミズ,カタツムリ,果実などを食べる。マルガメ属Cyclemysなどの4属は腹甲のちょうつがいが発達せず,腹甲は完全には閉まらない。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報