改訂新版 世界大百科事典 「ハタイ」の意味・わかりやすい解説
ハタイ
Hatay
トルコ南部に位置する県。西は地中海,北はアダナ,ガジアンテプの両県,東はシリアに面する。面積5831km2,人口139万(2007)。県都アンタリヤのほかイスケンデルンなどの都市がある。この地方は第1次大戦後ムドロス休戦協定(1918年12月)によってフランスの委任統治下に置かれた。しかし,住民の大半を占めるトルコ人はフランスの支配に反対して民族的抵抗を開始した。トルコ政府は1936年にこの問題を国際連盟に提訴,その結果,帰属は人民投票によることが決定した。投票はトルコ側に有利に展開し,結局トルコとフランスはハタイに独立の国家をつくることで合意し,38年9月〈ハタイ・トルコ人国家〉が成立した。しかし,トルコ人はこれに満足せず,39年6月に調印されたトルコ・フランス不可侵協定に従って,議会はハタイのトルコへの復帰を満場一致で可決した。そして同年6月29日ハタイのトルコへの併合が実現した。
執筆者:長場 紘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報