ちちゅう‐かい【地中海】
[1] 〘名〙 まわりを
陸地で囲まれ、
海峡により他の
海域に連なる海。
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デジタル大辞泉
「地中海」の意味・読み・例文・類語
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地中海【ちちゅうかい】
英語ではMediterranean Sea。アフリカ北岸とヨーロッパ南岸,アジア西岸に囲まれ,ジブラルタル海峡で大西洋と通じる海洋。黒海を含め,約251万km2。平均水深1502m,最大水深5267m。中央部のイタリア半島によって東西の海盆に分けられ,イタリア半島の西方にリグリア海,ティレニア海がある。東部,南部の海岸線は比較的単調であるが,北東部のアドリア海,イオニア海,エーゲ海では複雑。コルシカ,サルデーニャ,シチリア,クレタ,キプロスなどの島がある。沿岸は地中海式気候。地中海火山帯がある。表面水温はわりに高く(平均水温13.35℃),塩分は大西洋や黒海に比べて高い。海峡部を除き,著しい表面流,潮汐(ちょうせき)はない。透明度は高い。前3000年ころからクレタ文明(ミノス文明),エーゲ文明が栄え,古代ギリシア,ローマ支配下では交通・貿易の舞台となり,〈地中海世界〉を形成した。7世紀に周辺地域の約2/3がイスラム教徒の支配下に入ってその統一性は失われたが,11,12世紀にはヨーロッパ内陸の生産力の増大を背景に,十字軍などを契機としてベネチア,ジェノバなどの都市が東方との貿易で繁栄。またこうした東西交流によって伝えられたイスラム文化や,イスラム経由でヨーロッパにもたらされた古代ギリシア文化がヨーロッパの革新を促した。新大陸開発後ヨーロッパにおける貿易の中心は大西洋岸諸都市に移ったが,1869年スエズ運河開通で,再びその重要性が増大した。→テチス海
→関連項目アルジェ|カルタヘナ(スペイン)|大西洋|地中海料理|ヨーロッパ
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地中海
ちちゅうかい
Mediterranean Sea
大西洋の付属海の一つで,東をアジア,北と西をヨーロッパ,南をアフリカに囲まれた内海。ジブラルタル海峡で大西洋に,マルマラ海で黒海に,スエズ運河で紅海にそれぞれ連絡している。面積は約 251万 km2。平均水深は 1400m,最大水深はギリシアのテナロン岬南西の 5005m。シシリー海峡を横断する海嶺によって西部と東部に2分される。ジブラルタル海峡が狭く (最狭部 13km) ,浅い (平均水深 365m) ため孤立性が高く,潮汐作用がほとんどなく,水温は約 13℃とほぼ一定し,塩分濃度は平均 34.5‰と高い。気候は夏は降雨が少く乾燥し,冬は温和で雨の多いいわゆる地中海性気候を示す。コルシカ,シチリア,クレタ,キプロスなど多くの島が点在し,ローヌ,ポー,ナイル川などが流れ込んでいる。また,一般に大陸間の海を地中海と呼ぶことがあるが,そのときはヨーロッパ地中海と呼び区別している。
地中海
ちちゅうかい
mediterranean sea
海洋を大きさや形によって分類した場合の一つ。陸によって囲まれた大きな海水域ないし内海で,狭い海峡によって外海と連絡している。大きさによって大地中海と小地中海とに分けることがある。前者にはヨーロッパ地中海 (狭義の地中海) ,北極海,アメリカ地中海 (メキシコ湾とカリブ海をまとめた海域) ,東インド諸島海 (スル海,セレベス海,モルッカ海,ジャワ海などの総称) ,後者にはバルト海,ハドソン湾,紅海,ペルシア湾があげられる。
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ちちゅうかい【地中海 Mediterranean Sea】
〈地中海〉という言葉は,ラテン語のメディウスmediusとテラterraに由来し,文字どおり〈大陸に囲まれた海〉のことで,北極海,オーストラリア・アジア間の地中海,ヨーロッパ地中海(広義には黒海を含む),紅海,瀬戸内海などがある。一般には,地中海といえばヨーロッパ地中海をさし,狭義でのヨーロッパ地中海(ラテン語では内海Mare Internumと呼ばれていた)は,ヨーロッパ南岸,アジア西岸,アフリカ北岸に囲まれ,面積約297万km2,東西3860km,南北700kmに及び,西はジブラルタル海峡で大西洋に,北はダーダネルス海峡でマルマラ海に,南東部ではスエズ運河を通じ紅海と結ばれている。
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地中海(ちちゅうかい)
Mediterranean Sea
ヨーロッパの南に横たわる東西約4000kmの大きな内海。沿岸地方の気候は,いわゆる地中海性風土であり,夏期の晴天続きと極度の乾燥とを特色とする。冬が雨季であるが,雨量は西ヨーロッパに比してずっと少ない。夏期には航海が容易で,古代において交通,貿易に大いに役立った。フェニキア人,ギリシア人の植民市建設がこれを物語る。ローマ帝国の時代には地中海は「われらの海」と呼ばれて,属州を結びつける役をしたが,アラブ人がアフリカを占領して以来,この海はむしろ南北を隔てることになった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
世界大百科事典内の地中海の言及
【海】より
…海岸近くの入江や,浦,潟(かた)を海とするか湖沼と呼ぶかは,多分に従来の習慣によっている。
【海の地球科学】
[海の分類]
海を分類するには,その位置や大きさ,形状,海水の特性などにより,大洋と付属海に分け,付属海はさらに地中海(大・小地中海),縁海に分ける。大洋とは太平洋,大西洋,インド洋の三つであって,その他の海は,いずれもこれらのどれかに付属させる。…
【ヨーロッパ】より
…またもともと陸続きのアジアとヨーロッパとの境界線は,細部についての種々の議論があるにせよ,地理学の方では,大体北から南に走るウラル山脈を基軸として南に下がり,カスピ海から,黒海の入口ボスポラス海峡を結ぶ線とみるのが常識である。それゆえ面積の上では,ウラル山脈の西に広がる坦々たるロシアの大平原とその延長とが大部分を占めているわけで,西に進んでスカンジナビア半島とカルパチ(カルパティア),アルプスの両山脈にきて,初めて険しい山岳地帯に出くわし,やがて大西洋および地中海,あるいはまたバルト海,北海の複雑な海岸線に達するというのが,だいたいのヨーロッパの地形である。 またヨーロッパの気候は,アジアと比べればおおむね温暖で,海洋性気候の恩恵を受ける地域が多く,ロシアの内陸の乾燥地や極北および一部のステップ地帯のほかは,不毛の地はきわめてまれである。…
※「地中海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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