バヤニハン(その他表記)bayanihan

改訂新版 世界大百科事典 「バヤニハン」の意味・わかりやすい解説

バヤニハン
bayanihan

フィリピン社会でみられる伝統的相互扶助慣行のこと。村落内の道路・橋・水路作りなど住民の共同利益,共通課題解決のための無償労働提供から,農作業における労働力の互助交換,家屋の建築・移動,出産,結婚,葬儀など生活面での助け合いまですべてこの概念の中に入る。その意味でこれはきわめて一般的,包括的用語といえよう。類似の用語としてスユアン,バタリス,ダマヤン,ボリガイなど数多くみられるが,これらは使われ方にある程度限定があって,例えばスユアンは農作業での労働力互助交換,バタリスとダマヤンは生活面での助け合い,ボリガイは共同利益のための無償労働提供といった具合である。なおフィリピンに限らずどこでもそうであるように,バヤニハンもしだいにすたれつつあることはまちがいない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバヤニハンの言及

【隼人】より

…神代紀には,火酢芹(ほすせり)命(海幸)が弟の山幸に敗れて伏罪したとき,みずから狗人(いぬひと)と称したといい,〈火酢芹命の苗裔,諸の隼人ら,今に至るまで天皇の宮墻の傍を離れずして,代(よよ)に吠ゆる狗して奉事(つかえまつ)る者なり〉とある。律令時代にも,隼人は隼人司の管掌下にあり,吠声して宮廷守護に当たった。《令集解》職員令では,隼人という名は吠声によると解しているが,海幸が服属したとき〈俳優(わざおぎ)の民〉とならんと誓ったとの隼人舞の起源伝承から,テンポの早いはやしをする人の意で〈はやと〉と名付けたのかもしれない。…

※「バヤニハン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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