パチャカマク(読み)ぱちゃかまく(その他表記)Pachacamac

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パチャカマク」の意味・わかりやすい解説

パチャカマク
ぱちゃかまく
Pachacamac

ペルーのリマ市の南方、ルリン谷の河口にある都市遺跡。15世紀から16世紀初めまで栄えたインカ帝国時代、パチャカマクの神殿(今日「太陽の神殿」とよばれる)は、帝国全体から厚い信仰を集めていた。スペインのエルナンド・ピサロらが訪れたときは、大小の建物が建ち並び、多数の住民や神官がいて、神殿のもっとも高いところには暗い小部屋があり、パチャカマク神を彫刻した木柱が立っていた。インカ皇帝も、この神殿への信託には一目置くほどであったという。この太陽の神殿は、インカ様式の石造建築であるが、パチャカマクには、このほか3世紀ころからのリマ文化遺跡、8~9世紀ころのワリ時代やインカ帝国直前ころの建造物も残されており、宗教センターあるいは都市としての機能をかなり古くからもっていた。

[大貫良夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android