大小(読み)だいしょう

精選版 日本国語大辞典 「大小」の意味・読み・例文・類語

だい‐しょう ‥セウ【大小】

〘名〙
① 大きいことと小さいこと。また、大きいものと小さいもの。
万葉(8C後)五・沈痾自哀文「所値禽獣不大小孕及不孕
源氏(1001‐14頃)賢木「大小の事を隔てず、何事も御うしろみとおぼせ」
海辺の光景(1959)〈安岡章太郎〉「一切合財、ことの大小にかかはらず」 〔史記‐商君伝〕
② 大刀と小刀。刀と脇差。長大な打刀(うちがたな)と短小の打刀。
※伊達日記(1600頃か)中「御腰物大小、御小袖十、御馬一匹下され」
③ 大鼓と小鼓
※俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)何第二「古寺は何の分なくうち見えて つつみはあれどしらぬ大小」
④ 大の月と小の月。陰暦では、一か月三〇日であるのを大の月、二九日であるのを小の月といい、陽暦では三一日を大、三〇日または二八日(閏年は二九日)であるのを小とする。
春記‐長暦二年(1038)一一月二七日「暦博士道平所作進之暦月大小并雑注等与証照暦多有相違
⑤ 陰暦の大と小の月を、いろいろな趣向を用いて簡単にわかるように印刷した暦。柱暦。
※談義本・虚実馬鹿語(1771)二「近き比もてはやせし略暦(ダイセウ)色摺
正法眼蔵(1231‐53)洗浄「大小両処よくよくのごいかはかすべし」
⑦ おとなとこども。
今昔(1120頃か)二「父母眷族の大小、一時に焼死き」
⑧ (副詞的に用いて) 多かれ少なかれ。いずれにしろ。
※落語・橋場の雪(1896)〈三代目柳家小さん〉「男女共に大小(ダイセウ)御焼餠と云ふものが御座います」
仏教で、大乗小乗
※閑居友(1222頃)下「本師尺迦如来、つたなき我等がために、このにごれるよにおりたちて、大小の教法をときて」

おお‐さ おほ‥【大小】

〘名〙 大きさ。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「五百青斑の鳥飛び来りて経を聞きたてまつる。大小(オホサ)は雀の如し」

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デジタル大辞泉 「大小」の意味・読み・例文・類語

だい‐しょう〔‐セウ〕【大小】

大きいことと小さいこと。大きいものと小さいもの。「事の大小にかかわらず報告する」
大刀だいとう小刀。「大小にを腰に帯びる」
大鼓おおつづみ小鼓
大の月小の月

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普及版 字通 「大小」の読み・字形・画数・意味

【大小】だいしよう

大きさ。

字通「大」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大小の言及

【刀】より

…さらに,この短刀から,寸法が長く鐔をつけた,太刀の代りに腰にさした打刀(うちがたな)が生じた。そしてこの打刀と同形で寸法の短いもの,すなわち脇指を添えたものが大小(だいしよう)であり,江戸時代の武士の指料として武家社会に定着したのである。この大小のうちの大が前述の2尺以上の刀身をもつもので,江戸時代に作られた長いものは原則的にすべて刀ということができる。…

【刀装】より

…打刀はその着用法から帯執,足金物がなく,鞘の表に栗形(くりがた)と返角(かえしづの)がつくのを特徴としている(図1)。桃山時代になると太刀はほとんどすたれ,この打刀形式が全盛となり,これがやがて長い打刀に短い打刀を添えるようになり,江戸時代に至って武家の制式となり,〈大小〉と称された。特に裃(かみしも)着用のときは,鞘は黒蠟塗で,柄糸や下緒(さげお)も黒糸を用い,鐔は赤銅磨地を,小柄(こづか),笄(こうがい),目貫(めぬき)の三所物(みところもの)(図2)は後藤家作のものを用いるのが正式となったのである。…

※「大小」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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