改訂新版 世界大百科事典 「ヒレアシトカゲ」の意味・わかりやすい解説
ヒレアシトカゲ (鰭脚蜥蜴)
snake lizard
ヒレアシトカゲ(ピゴプス)科Pygopodidaeに含まれる系統的にはヤモリに近いトカゲ類の総称。約32種が知られるうち,2種がニューギニアに生息する以外はすべてオーストラリアに分布する。大半が全長50~75cmであるが,ミミズ形のミミズヒレアシトカゲ属Aprasiaは15~20cmと小型。体型は四肢が退化した細長いヘビ形であるが,骨格の構造などはヤモリ類に近く,眼もヤモリ同様にまぶたが固着し1枚の透明なうろこで覆われる。瞳孔は縦長で,明るいところでは細く絞る。分布域がもっとも広いバートンヒレアシトカゲLialis burtonisは全長50~75cm,尾はその1/2余りを占めるが,自切し再生するため短い個体が多い。前肢を欠き後肢は1~2枚の痕跡的なひれ状のうろことして残る。クロガシラピゴプストカゲPygopus nigricepsの後肢はやや長いひれ状の痕跡となるが,デルマトカゲDelma tinctaはよりヘビ形で尾は全長の3/4を占め,形態,斑紋が毒ヘビのブラウンスネークDemansia textilisの子ヘビと類似する。
→トカゲ
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報