日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピェトルソン」の意味・わかりやすい解説
ピェトルソン
ぴぇとるそん
Hallgrímur Pétursson
(1614―1674)
アイスランドの牧師、宗教詩人。ホウラルの寺男の子として生まれる。少年のころコペンハーゲンに渡り、そこで故国の司教スベインソンの知遇を得てマリア学校に学び、人文主義的教育を受ける。アイスランドに戻ってから漁師をし、のち牧師になる。経済的窮乏と政治的失政の暗い時代に、自らも癩(らい)を患うなど悲惨な状況のなかにあって、多くの敬虔(けいけん)な教会詩、教訓詩、賛美歌を書いた。とくに、キリストの受難を扱った『受難賛美』Passíusalmar(1666)は、アイスランド最高の宗教詩とされている。首都レイキャビークには彼を記念する壮大なハトルグリームス教会がある。
[谷口幸男]