牧師(読み)ぼくし(英語表記)poimēn; pastor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「牧師」の解説

牧師
ぼくし
poimēn; pastor

プロテスタントの教会組織における教名。新約聖書『エペソ人への手紙』4章 11にみられる初期教会のカリスマ的奉仕機能 (職) の一つで,教会員の霊的な世話を担当したと思われる。すでに初期教会からこの機能は司教司祭に吸収され今日にいたっているが,16世紀の宗教改革で,「万人祭司主義」に立つプロテスタント諸教会は特権的な「司祭制」を廃して牧師の役割名称とを復活させたが,形のうえではカトリックの司祭,特に主司祭に類似している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「牧師」の解説

牧師
ぼくし
pastor

一般的には牧会者の意。聖書で神やキリストを羊(ひつじ)の牧者に例えたことに発する呼称。具体的にはプロテスタント・キリスト教会の教職者(聖職者)で、一または数個の教会の牧会、伝道の責任者たる人。按手礼(あんしゅれい)(頭の上に手を置いて、その人物を聖別し、聖職に任命する儀式)をもって任職された教師として一般信徒と区別され、職責において神学教師、巡回教師などと区別される。

[金井新二]

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精選版 日本国語大辞典「牧師」の解説

ぼく‐し【牧師】

〘名〙
① 牧場をつかさどる役。
※経済要録(1827)一二「南総柳沢の牧師鈴木清兵衛なる者、予に従て牧養法を講究し」 〔周礼‐夏官・牧師〕
② キリスト教会で、按手礼で任職された教師のうち、一個または数個の教会の牧会、伝道の責任者に任じられた者。多く、プロテスタント教会でいう。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「加爾華敦の牧師〈法教の官〉となれり」

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世界大百科事典 第2版「牧師」の解説

ぼくし【牧師 pastor】

プロテスタント教会を牧する教師の職名。カトリック教会では司祭,東方正教会も司祭と呼ぶ。牧師の理解は教派によって相違するが,ほぼ共通しているのは,第1に按手(按手礼)を受けている教師であること,第2に,神学校の教師や宣教師とは異なり,自分の国の教会の,一個もしくは数個の教会に定住して,説教牧会にあたることである。同じように教会で働いていても,按手を受けていない教師を伝道師と呼ぶ場合がある。牧師の第1の任務は説教を中心に,聖書の説き明かしをすることであり,これを神の言葉への奉仕と呼ぶ。

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世界大百科事典内の牧師の言及

【司祭】より

…これによって司祭は司教の牧職にあずかり,個々の教会共同体の司牧(牧会)がゆだねられる。特にプロテスタント教会で〈牧師〉と呼ぶ習慣はここから来る。【土屋 吉正】
[祭壇付司祭]
 都市などの大きな教区において,教区司祭を助けてミサをあげる下級聖職者をいう。…

【ヒツジ(羊)】より

…これらの点から,一般に羊は,牧夫による放牧管理の度が高く,人への依存度の高い家畜とみなされている。キリスト教世界で,〈牧夫shepherd(pasteur)〉という語が,過ちを犯す民を教導する〈牧師〉を指す語に転用されているのは象徴的である。ところで,この追随性の高い羊群の行動の統御は,牧夫に付き従い,群れを先導するものを群れにいれ,それをコントロールすることによってよく達成される。…

※「牧師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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