ブラジルのアマゾン・マイシ川沿岸400キロほどの地域で暮らしている400人ほどからなる少数民族。米国の伝道師ダニエル・L・エヴェレットが30年ほど彼らと居住し、2008年に『Don't Sleep, There Are Snakes』を刊行した。本書は12年3月に『ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観』とのタイトルでみすず書房より発売されている。ピダハン語には従属節、数詞、色や左右を表わす言葉などが存在せず、普遍的な文法則に当てはまらない。自分たちが直接体験した事実や話しか信じないという原則をもち、神も神話もない。本書の提示した西欧的価値観からかけ離れたピダハンの生き方や言語学上の革新性が、邦訳発行後すぐに話題となった。