リレー競技(読み)りれーきょうぎ(英語表記)relay race

翻訳|relay race

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リレー競技」の意味・わかりやすい解説

リレー競技
りれーきょうぎ
relay race

陸上競技水泳競技などで、数人がチームを組み、一定の距離を継走あるいは継泳する競技方法。

[加藤博夫 2020年2月17日]

陸上競技

トラック競技種目として、4人が同一距離を走る400メートルリレー(4人×100メートル)、1600メートルリレー(4人×400メートル)〈以上男女ともオリンピック種目〉、800メートルリレー、6000メートルリレーなどが代表種目である。ほかに特殊種目としてハードルを跳びながら継走するハードル・リレーや、各走者が異なった距離を継走するメドレーリレー(100メートル、200メートル、300メートル、400メートル。スウェーデン・リレーともいわれる)などがある。2020年オリンピック東京大会では男女混合の1600メートルリレーも実施されるが、男女各2人の走る順番は決まっておらず、配置によってレース展開は大きく変わる可能性がある。

 リレーは通常、バトンの受け渡しによって行われるが、受け渡し区域はテイク・オーバー・ゾーンtake over zoneとよばれ、長さは800メートル以下のリレーでは30メートル、1600メートル以上では20メートルである。バトンパスは大きく分けて2種類あり、互いの走者が腕を伸ばして距離を稼げるオーバーハンドパスと、距離はあまり稼げないが、受け手のフォームが崩れずに加速しやすいアンダーハンドパスがある。いずれもゾーン内でバトンの受け渡しを行わないと失格になる。この場合で重要なのはバトンの位置であり、競技者の体の位置ではない。バトンを落とした場合は、落とした者が拾えば継続してもよい。しかし、その場合は走る距離が短くならないことを条件にレーンから離れることを許されるが、他の競技者を妨害したときは失格となる。

 400メートルリレーでは、走者はすべて各自のレーン(セパレートレーン)を走らなければならない。1600メートルリレーでは、2周目の最初カーブまでは各自のレーンを走り、バックストレートに入ったところでオープンになるが、その前に他のレーンに入ると失格になる。オリンピックでは、男子の400メートルリレー、1600メートルリレーが1912年のストックホルム大会から、女子は400メートルリレーが1928年のアムステルダム大会、1600メートルリレーが1972年のミュンヘン大会から正式種目となった。男子400メートルリレーでは日本チームが2008年北京(ペキン)大会と2016年リオ・デ・ジャネイロ大会で銀メダルを獲得した。競技場のトラックを離れて道路で行うリレーとしては、たすきを渡して継走する日本古来の駅伝競走が有名。

 パラ陸上(障害者陸上競技)の400メートルユニバーサルリレーは男女各2人で構成され、それぞれ視覚障害、切断・機能障害、脳性麻痺(まひ)、車いすの4選手が走り、次走者へ手でタッチすることでつなぐ。

[加藤博夫・中西利夫 2020年2月17日]

水泳競技

競泳の種目としては、4人の泳法にとくに制限がない自由形の400メートルリレー(4人×100メートル)、800メートルリレー(4人×200メートル)、混合400メートルリレー(男女各2人×100メートル)と、チームの4人が異なった泳法((1)背泳ぎ、(2)平泳ぎ、(3)バタフライ、(4)自由形の順)で泳ぐ400メートルメドレーリレー、混合400メートルメドレーリレーなどがある。メドレーリレーは背泳ぎのスタート時に飛び込み台が使えないため、泳者と泳者の引き継ぎがスムーズにいくように個人メドレー((1)バタフライ、(2)背泳ぎ、(3)平泳ぎ、(4)自由形の順)とは異なる順番で泳ぐ。2020年オリンピック東京大会では男女各2人で構成される混合400メートルメドレーリレーが新種目として実施される。泳法順はメドレーリレーと同じだが、男女の泳ぐ順番は決まっておらず、一般に男女のタイム差が大きい平泳ぎと背泳ぎを男子が受け持ち、バタフライと自由形を女子が泳ぐほうが全体のタイムは短縮されるとされている。

 リレーの引き継ぎは、前の泳者が壁に触れる前に、次の泳者の足がスタート台から離れたときには、そのチームは失格となる。また、泳いでいないチームメンバーが、すべてのチームの競技者が競技を終える前に入水した場合、そのチームは失格となる。

 オリンピックでは、男子は400メートルリレーが1964年の東京大会、800メートルリレーが1908年のロンドン大会、400メートルメドレーリレーが1960年のローマ大会から、女子は400メートルリレーが1912年のストックホルム大会、800メートルリレーが1996年のアトランタ大会、400メートルメドレーリレーが1960年のローマ大会から正式種目となった。

 日本チームは、男子800メートルリレーで1932年のロサンゼルス大会、1936年のベルリン大会と2大会連続で金メダルに輝いた。男子400メートルメドレーリレーでは2012年のロンドン大会で銀メダル、女子400メートルメドレーリレーでは2000年のシドニー大会、2012年のロンドン大会でともに銅メダルを獲得したのが最高となっている。

 なお、スピードスケートやスキーの距離競技などにもリレーがある。

[石井恒男・中西利夫 2020年2月17日]


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