日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウセンイソギンチャク」の意味・わかりやすい解説
フウセンイソギンチャク
ふうせんいそぎんちゃく / 風船磯巾着
[学] Stomphia japonica
刺胞(しほう)動物門花虫(はなむし)綱六放サンゴ亜綱イソギンチャク目セトモノイソギンチャク科に属する海産動物。東北地方のやや深い海底に産する。中膠(ちゅうこう)性の周口筋をもち、槍糸(やりいと)をもたない中筋下目諸科のなかで、足盤をもち、隔膜が大小2組に明らかに分けることができず、後隔膜が外腔のみから新生されるセトモノイソギンチャク科に属する。新生される後隔膜の対(つい)は双方が同じ大きさではなく、古い隔膜対に隣接するほうの隔膜がはっきりと大きくなる。16対の完全隔膜をもち、周口筋はよく発達し、触手は完全に縮退する。体高、直径ともに2~4センチメートル。体壁は赤色、滑らかで薄く、よく膨らんだときには体壁を通して隔膜が見える。この類は天敵であるヒトデ類に襲われたときには、胃腔内の海水を勢いよく口から吐き出してジャンプして逃げる習性がある。
[内田紘臣]