精選版 日本国語大辞典 「海水」の意味・読み・例文・類語
かい‐すい【海水】
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海のもっとも基本的な構成要素。地球は表面付近に多量の水分を有するので、水惑星ともよばれる。地表付近の水は、海水、大陸氷、湖沼・河川水、大気中の水蒸気など種々の形で存在する。このうち海水が量的には圧倒的に多く、その体積は13億7000万立方キロメートル、重量は1兆4100億メガトンと推定され、地表付近の水の総量の98.3%を占める。広大な海洋表面から蒸発する水蒸気はやがて降水となり、直接、または地表を流れてふたたび海洋へと戻る。その周期はほぼ10日に1回の割合と見積もられている。地表付近の天然水は蒸発、降水、結氷、融氷などの過程を繰り返し、気相←→液相←→固相と形を変えて循環している。この水の動きが地表の気候を温和にし、降水をもたらして、地球上の生物環境を調整する役割を果たしている。
[秋山 勉]
地球表面に海水がどのようにして生成したかについては、いくつかの仮説がある。現在もっとも広く支持されているのは、地質時代における水の累進的生成によるとする説である。この説を要約すると、集積過程を完了した地球は内部が加熱され、地球内部の含水鉱物の水分が水蒸気として他の揮発性成分とともに地表に噴出した。地殻が冷却され、その表面温度が100℃以下になると、水蒸気は凝縮して水となって地殻の窪(くぼ)みにたまり始め、長い地質時代を通じて徐々に累積されて原始海水が生成した。この原始海水は強い酸性溶液であった。しかし蒸発と凝縮を繰り返すうちに地殻の玄武岩質と接触して、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどの陽イオンを溶かし出し、海水は中和された。一方、火山や温泉活動により噴出する炭酸ガス(二酸化炭素)、塩酸ガス、亜硫酸ガス(二酸化硫黄(いおう))、窒素ガスなどが海水中へ溶け込み、陰イオンに相当する元素を供給した。この原始海水の生成は約30億年前であり、このころ海水中に生命の起源が誕生した。その後、海水中では物質の沈殿、溶解、変質などが繰り返され、生物活動の影響も受けて、約6億年前には現在とほぼ同様の海水が生成していたと考えられている。このように海水と大気は地球の生成当初には存在せず、地球の進化の過程で岩石中の揮発成分から徐々に生成し進化した、という考え方である。
地球の生成過程を推測する手掛りとして、化石など過去の遺物の年代決定、地殻や火山ガスの分析などの方法があるが、海水の生成についてもより正確な解明が期待されている。
[秋山 勉]
一般に海水の物理的性質は水温、塩分、圧力の影響を受けて変化する。海水が純水と異なる点は、その中に重量比で約3.5%の塩類を含んでいることである。したがってこの点を除いては、海水の物理的性質は基本的には純水の物理的性質が基礎となる。純水の物理的性質の一般的特徴としては、(1)比熱・熱容量が大きい、(2)高い沸点・融点を有する、(3)物質をよく溶かす、(4)表面張力が大きい、などがあげられるが、これらの性質は海水にも共通している。一方、密度、電気伝導度、浸透圧などは塩分の影響を大きく受けるので、海水と純水とでは大きく異なる。これは海水の特性といえる。
(1)密度 海水1立方センチメートルの質量のグラム数を海水の密度という。比重は4℃の純水の質量に対するその物質の質量比であるから、海水の場合には密度と比重は同じ数値となる。海水の密度は塩分、水温、水圧の関数であり、その海水が存在する場所でもっている密度を現場密度という。現場密度は1.000~1.031の比較的狭い範囲にあるので、便宜上、次式によって定義されるシグマ‐T(σt)を使う。式中のρst,pは深さ(P)の関数である。
σt=(ρst,p-1)×1000
たとえば塩分35psu(psuはpractical salinity unitの略、実用塩分単位)、水温20℃、圧力1気圧(海面)の海水を考えると、現場密度は1.02478でシグマ‐Tは24.78となる。海水の密度の測定は精密な浮き秤(ばかり)を使用して直接測定することもあるが、実際には定温・定圧下で海水の電気伝導度を測定して海水の塩分を求め、現場の水温・水圧を考慮して、計算により現場密度を正確に求める。海洋学において海水の現場密度は、力学計算により海流を算出するための重要な量である。
(2)水蒸気圧・沸点・氷点 海水の水蒸気圧は、同じ温度の純水に比べていくぶん低く、水蒸気圧低下の度合いは塩分に比例する。純水の沸点は100℃であるが、海水の場合には水蒸気圧が純水よりも低いために、沸点は100℃を超える。これを沸点上昇という。塩分35psuの海水の場合、100℃で水蒸気圧降下は水銀柱15.23ミリメートル、沸点上昇0.56℃となる。海水の結氷点は海水と氷の水蒸気圧が等しくなる温度で、海水の水蒸気圧が純水に比べて低いことから、0℃以下となる。これを氷点降下(凝固点降下)という。塩分35psuの海水の場合、結氷点は零下1.91℃となる。実際の海洋では、海水温が氷点に達しても結氷しないで過冷却の状態がみられることがある。
(3)浸透圧 海水は純水に比べて大きな浸透圧をもっている。その大きさは氷点降下量と一次的な比例関係にあって、塩分とともに増加する。塩分35psu、水温4℃の海水の浸透圧は約23気圧である。海洋生物は、細胞の半透膜を通じて浸透圧の差によって、海水との間で水分の交換を行っている。そのため海水の浸透圧は、海洋生物の生理作用と重要なかかわりをもつ。沿岸海域などで海水塩分の急変がおこると、生物は体内水分の多量の得失に対応できず、死に至ることがある。
(4)比熱 海水の比熱は純水に比べて低く、塩分が増加するにつれて低くなる。一定圧力下での定圧比熱と一定容積での定積比熱を区別して用いることがある。塩分35psu、水温17.5℃の海水では、定圧比熱は0.932となる。
(5)熱伝導度 熱伝導率は一般に流れる熱量と流れの方向の温度勾配(こうばい)の比で表される。純水も海水も温度の上昇とともに一次的比例関係で熱伝導度は増加する。海水の熱伝導度は純水に比べていくぶん低く、塩分35psuの海水では純水に比べて約4.2%小さい。
(6)電気伝導度 海水に溶けている塩類は、ほぼ完全にイオンに解離して電解質溶液となっているため、海水の電気伝導度は純水に比べて桁(けた)違いに大きい。電気伝導度は水温と塩分の関数であるが、海水の場合にはとくに塩分の増加とともに直線的に大きくなる。温度を一定にしておけば、海水の電気伝導度は塩分だけの関数となるので、海水の比電導度を測定して塩分を求める方法が広く実用化されている。
(7)粘性 静止している海水の粘性は水温の上昇とともに急激に減少する。この分子粘性は海水のほうが純水に比べてわずかに大きい。実際の海洋では海水が流動しているので、分子粘性よりもはるかに大きい渦(うず)粘性が重要である。
(8)表面張力 海水の表面張力は、水温が上昇すると減少し、塩分の増加とともに大きくなる。塩分35psu、水温20℃の海水の表面張力は1センチメートル当り73.5ダインとなる。生活排水として洗剤液などの表面活性物質が沿岸海域に流入しているが、このような場合には海面水の表面張力は著しく低下してしまう。
(9)光の屈折率 光が大気から海中に入射するとき、海面において進行方向を変える現象を光の屈折という。この現象は、大気と海水とでは光学的密度が異なり、光の進行速度が異なるためにおこる。境界面と入射光および屈折光との角度をi、rとすれば、屈折率nは
で表される。海水の屈折率は光の波長によってもわずかに変化するが、水温の低下や塩分の増加に伴って著しく大きくなる。海水の屈折率と水温、塩分の関係は実験的に精密に求められているので、水温を一定にして屈折率を正確に測定すれば、海水の塩分を求めることができる。
(10)音速 音波は海水中において空気中よりもはるかに速く伝搬する。また海洋中では光や電波に比べて吸収が少ないので、はるかに遠方まで到達する。この音波の伝搬特性を生かして海中通信、測深、魚群探査などの実用面でも広く音波が利用されている。海洋中の音波の伝搬速度cは、伝搬経路の水温t、塩分s、水圧pの関数で
c=1449.2+4.623t-0.0546t2
+0.1605p+1.391(s-35)
という式で表される。この式より明らかなように、海水中の音速は、水温の変動にもっとも大きく影響される。いま伝搬経路の水温が20℃、塩分35psu、水圧を1気圧(海面)とすれば、音速は毎秒1520メートルとなる。海洋中における音波の伝搬速度の変化や屈折などの特性を利用して、中層、深層の水温や海流の間接的な測定法が開発され、音波断層観測法とよばれている。
[秋山 勉]
海水中には重量比にして約3.5%の無機塩類が溶けている。これらの塩類は水中でほぼ完全にイオンに解離しており、海水は一種の電解質溶液ともいえる。海水1キログラム中に溶けている塩類の総量をグラム数で表した数値を海水の塩分といい、従来パーミル(‰)で表していた。1970年代になって、CTD(電気伝導度水温水深計Conductivity-Temperature-Depth profiler)などの測器によって、現場での水温、電気伝導度、圧力が測定されるようになり、これらの3要素の関数として塩分を表わす新しい定義が必要となってきたことから、無次元の数値psu(psuはpractical salinity unitの略、実用塩分単位)として新たに塩分が定義され、1982年から国際的に使用されている。海水中に溶けている塩類のうち、量的に豊富な11成分を海水の主成分といい、塩類総量の99.99%を占める。残りの0.01%を総称して微量成分という。このほか海水は酸素、窒素、炭酸ガスなどを気体の状態で溶存している。
(1)主成分 海水中の塩素やナトリウムなど11種類の量的に豊富な元素や基をいう。海水の塩分は場所や季節によって大幅に変化するが、主成分相互の存在比は世界中のどこの海水についてもつねに一定である。したがって主成分のうちのどれか一成分を定量すれば、ほかの主成分の量や塩分を知ることができる。事実、塩分を知るために塩素量を定量する方法が長年使用されてきた。1970年代になって海水の密度、電気伝導度、屈折率、音速などの物理量と塩分の間には、それぞれ精密な量的相互関係があることが確かめられ、これらの物理量測定が新しい塩分定量法として登場してきた。なかでも海水の電気伝導度測定は、精密で簡便な方法として広く実用化されている。
(2)微量成分 現在ではほとんどすべての元素が海水中に存在することが確かめられている。量的に比較的多い微量元素でも、海水1リットル中に10マイクログラム以下である。海水中の微量成分は海洋生物の栄養源となったり、海洋中の化学反応を促進するなど、量的には少なくても存在の意義は大きい。微量成分の存在量は主成分の場合と違って、海洋生物に利用されたりするため、場所や深さあるいは季節によって大幅に変動する。この特性から、微量成分の存在量や分布の状況などを解析して、水塊分析や生物生産性の調査などに利用する。
(3)溶存気体 海水は塩類のほかに、大気の成分である酸素、窒素、炭酸ガス、アルゴンなどを気体の状態で溶存している。海水の気体溶存量は水温、塩分によって決まり、これを飽和量という。海の表面近くでは、溶存気体は海面を通じての大気との交換によってほぼ飽和量に達している。溶存気体のうち酸素は、海洋生物の呼吸作用、有機物の酸化分解、海洋中の酸化還元反応など、海洋環境中の広範な物質循環に密接に関与している。炭酸ガスは、溶けている炭酸塩類とともに無機炭酸物質として海水中に共存しているが、光合成作用による海洋の有機物合成の基礎物質である。また、海面を通じての大気との炭酸ガス交換により、人為的影響で増加する大気中の炭酸ガス濃度変化を調整する役割をもっていて、1980年代以降は気候問題との関連でとくに注目されている。窒素は不活性元素で海洋中の化学反応にほとんど関与せず、海面から海底までほぼ飽和に近い一様な量が溶存している。
[秋山 勉]
海水中には多くの種類の天然放射性物質が微量であるが存在する。主要な放射性核種はカリウム40Kで、海水の天然放射能の97%を占める。このほか、ごく微量であるがウラン238U,235U、トリウム232Th、ラジウム232Raなどの放射性核種が存在する。これらの系列で順次放射性壊変(崩壊)を繰り返して新しい核種を生成している。これらの放射性物質は、壊変によってその量が半分になるのに要する年月(半減期)が、数億年から数十億年と非常に長寿命である。炭素、水素の放射性同位体である14Cおよび3Hは、大気圏の上層で大気成分と宇宙線の核反応によって生成され、降水とともに海面に供給される。14Cはその半減期が5760年で、3Hは12年と比較的短いため、海水中のこれらの核種の濃度を正確に定量してその海水の年齢を決定する。その結果は海洋の大循環の研究などに利用されている。
[秋山 勉]
海洋中には大小さまざまの生物が生息している。これら海洋生物のうちで植物プランクトンや海藻類は、海水中の栄養成分を直接体内に取り込んで増殖することができる。海洋の表層に無数に存在する植物プランクトンは、その体内の葉緑素と太陽光線のエネルギーを利用し、光合成作用によって有機物を合成する。これが海洋の生物生産の基礎をなしている。増殖した植物プランクトンは動物プランクトンに、動物プランクトンは小形の魚類に、小形の魚類は大形の魚類にと次々に捕食されて、海洋全体の生物生産機構が成り立っている。一方、枯死した生物は、沈降しながらバクテリアなどによって腐敗分解され、無機の成分となってふたたび海水中に還元される。このように生物作用によって海水中のリン、窒素、ケイ素、炭素などの物質は、海水と生物の間を循環している。生物と無機物の中間生成物として、海水中には有機体の物質も溶存している。一般に海面近くの光合成層では、生物による取り込みのため栄養塩類の濃度は低く、深さとともに増加する。窒素やリンが表層で極端に少なくなると、生物基礎生産の制限因子となることがある。表層における光合成作用では炭酸物質を消費して酸素を生産し、枯死分解の過程では酸素を消費するので、海水中の溶存酸素は表層で多く、深さとともに減少して、ある深さで極小となる。海洋生物は栄養塩類のほか、海水中の重金属元素なども体内に取り込む。生物体内のこれらの元素の濃度が、環境海水中の濃度の数百倍、数千倍にも濃縮されることがある。放射性物質や有害重金属などの環境海水中の濃度が低くても、人間が食品とする場合には、海洋生物体内の有害物質の濃度にはつねに注意が必要である。
[秋山 勉]
海水を資源として利用することでは、従来主成分である食塩、マグネシウム、臭素などが採取されてきた。食塩は、現在では陸上鉱床の岩塩からの採取のほうが経済的に有利で、海水からの採取はあまり行われていない。1960年代なかば以降、海水の脱塩による水資源としての利用が、いっそう実用化される気運にある。海水中の微量成分は陸上の鉱物や岩石に比べてはるかに濃度が低く、経済的に採算がとれないので、ほとんど利用されていない。将来陸上の資源が枯渇するにつれて、ウランなど特殊な成分を海水から採取することも考えられよう。
さらに重要な側面は、海水がもつ種々のエネルギーの利用である。1970年代以降は化石燃料にかわるクリーンエネルギーとして、海洋エネルギー利用の技術開発が急速に進展している。海洋のエネルギー源としては波浪、海流、潮汐(ちょうせき)などの運動エネルギーや、海水温度差などによる熱エネルギーが利用される。波浪エネルギーは、海面に浮かべた浮体が波によって受けた力をエネルギーとして取り出す方式である。1979(昭和54)~85年には、山形県由良(ゆら)沖で波力発電装置「海明」により、海域実験とともに陸上送電の試験が行われた。海流エネルギーを効率よく利用するためには、黒潮のように流速が大きく、流軸が比較的安定した場所を選ぶ必要がある。そのため黒潮のもつ運動エネルギーの観測手法と解析、評価が、黒潮開発利用研究の重要な柱として進められている。潮汐エネルギーは、潮位の上昇を直接位置のエネルギーとして利用する方法と、運動エネルギーに変換された形の潮流を利用する方法とがある。ドーバー海峡のランスでは、最大潮位差13.5メートルを利用して潮汐発電所が実用運転に入っている。海洋表層の高温水と深層の低温水との温度差を利用してエネルギーを取り出す方式が、海水温度差発電ocean thermal energy conversion(OTEC(オテック))である。エネルギーの取り出し方式には、表層の温海水を低圧で蒸発させる方法、温海水の熱を利用してアンモニアなどの液体を蒸発させる方法などがある。深層の冷海水は蒸発させた気体の凝縮に使用される。表層と深層の温度差が20℃以上あることが必要であり、ほぼ30度以下の低緯度海域が対象となる。定常的にエネルギーを取り出す方法としてはもっとも有望で、日本ではサンシャイン計画、ニューサンシャイン計画、アメリカではOTEC計画として開発が進められている。海洋エネルギーは一般的に一次変換装置によって機械的エネルギーとして取り出され、その後二次変換装置によって利用目的に沿って電力その他の形に変換される。このため各種の海洋構造物が必要であり、一部は実海域で実験に使用されている。取り出された電力は利用地まで輸送されて陸上の電力網に組み込まれたり、現場で電力を使用する場合には、水素、アンモニア、メタノール(メチルアルコール)などの化学物質をつくるエネルギーとして考えられている。波浪や海流などはエネルギーの総量は莫大(ばくだい)であるが、エネルギー密度が比較的低く時間的にも変動するので、時間・空間的にエネルギーを蓄えて利用効率を高めるくふうが必要である。そのほか海洋エネルギー利用に関する経済性や環境に与える影響などが、広範に評価、検討されている。
[秋山 勉]
『堀部純男ほか著『海洋科学基礎講座10 海水の化学』(1972・東海大学出版会)』▽『阿部友三郎著『海水の科学』(1975・日本放送出版協会)』▽『ウィリアム・ルーベイほか著、竹内均訳『海水と大気の起源』(1976・講談社)』▽『寺本俊彦編『海と人類の未来』(1990・日本学術振興会、丸善発売)』▽『R・V・テイト著、三栖寛訳『海洋生態学入門』(1990・九州大学出版会)』▽『日本海洋学会編『海と地球環境――海洋学の最前線』(1991・東京大学出版会)』▽『日本海水学会・ソルトサイエンス研究財団編『海水の科学と工業』(1994・東海大学出版会)』▽『須藤英雄編著『海からみた地球環境』(1994・成山堂書店)』▽『寺本俊彦編著『研究者たちの海』(1994・成山堂書店)』▽『鈴木正弘著『海水エネルギー』(1994・東海大学出版会)』▽『地学団体研究会編、青木斌・井内美郎・井口博夫・加藤義久・末永和幸ほか著『地球の水圏――海洋と陸水』(1995・東海大学出版会)』▽『能沢源右衛門著『新しい海洋科学』改訂版(1999・成山堂書店)』▽『北野康著『大気・海洋の化学像形成と地球温暖化――地球環境における炭酸塩物質の発言』(2000・東海大学出版会)』▽『柳哲雄著『海の科学――海洋学入門』第2版(2001・恒星社厚生閣)』▽『石田祐三郎著『海洋微生物の分子生態学入門――生態学の基礎から分子まで』(2001・培風館)』▽『鈴木正弘著『エネルギーと海水』(2002・佐久書房)』▽『豊田恵聖監修、東海大学海洋学部編『改訂 宇宙から深海底へ――図説海洋概論』(2003・講談社)』▽『関根義彦著『海洋物理学概論』4訂版(2003・成山堂書店)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
地球の表面の3/4近くを覆う水圏の大部分を占める海洋,およびそれを構成する海水の起源について,V.M. Goldschmidt(ゴルトシュミット)は次のように考えた.地球の歴史のある時期に,地球の表面で液体が発生しはじめると,ただちに水は蒸発,凝縮による循環を繰り返し,接触する岩石そのほかの物質から元素を溶出し,これが海水となる.陸水の影響のない海水の主要元素の含有量比は,世界中どこでも一定である(海塩組成一定の法則).海水は一種の無機電解質水溶液で,ほぼ3.3~3.7% の塩類を含む.海水の密度は1.02~1.03 g cm-3 の値を示す.そのほかの物理化学的諸数値(氷点,浸透圧,沸点,蒸気圧,電気伝導率,粘性など)は,塩分量や塩素量との関係で表される場合が多い.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…地球上の陸地以外の凹所に水をたたえ,全体がひとつづきになっているところが海(海洋)である。それを満たす水が海水で,その塩分の組成率は,世界中ほぼ一定している。海岸近くの入江や,浦,潟(かた)を海とするか湖沼と呼ぶかは,多分に従来の習慣によっている。…
…単に淡水化ともいう。海水中には1l当り約35gのナトリウムや塩素などの無機物が含まれていて,このままでは飲料水として使用できない。そこで海水しか水源がない船舶,離島,中東地区などの乾燥地帯では,いろいろの方法で海水から塩分を除き(海水脱塩),飲料水を製造してきたし,現在でも世界各地で数多くの海水淡水化プラントが建設され,飲料水,工業用水,農業用水などの製造が行われている。…
…漁業は湖沼や海がなくては成り立たないが,この場合の湖沼や海の水そのものは産業用水とはいわない(ただし,これらの水を引き入れて養殖などに使う場合,これを産業用水と呼ぶべきかどうかは明確にされていない)。 用水を大別すると淡水と海水とになる。日本の淡水資源の賦存量は,年間総降雨量から蒸発量を差し引いた約4500億m3/年と考えることができ,これに対して,現在使われている淡水の用水量は,概略して,年間,上水道140億m3,工業用水490億m3(うち10億m3は上水道より供給),農業用水550億m3,水力発電用水4000億m3程度となっている。…
…このほか南極の氷床の消長,大地震,地殻変動,地球の核とマントルとの間の電磁気的カップリングによっても自転速度に変化が生じる。海水と海底との間に生じる潮汐摩擦によって自転にブレーキがかかり,しだいに自転速度が減る現象を永年減速といい,1日の長さが100年間に約0.014秒ずつ長くなる。一方,月の公転速度も海水の引力によって減速され,ケプラーの第3法則に従って,地球と月との距離は3.3cm/年の割合で大きくなる。…
※「海水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
地震や風雨などによる著しい災害のうち、被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とするもの。激甚災害法(1962年成立)に基づいて政令で指定される。全国規模で災害そのものを指定する「激甚災害指定基準に...
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