フェーズドアレイアンテナ(読み)ふぇーずどあれいあんてな(その他表記)phased array antenna

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フェーズドアレイアンテナ
ふぇーずどあれいあんてな
phased array antenna

無線航法レーダーなどに使われるアンテナ。直線上、あるいは円周上に配列したアンテナ(たとえば半波長アンテナ)からの電波が、ある任意の方向で同相で加わり合うように各アンテナの電流位相を調整すれば、その方向に強い指向性をもったアレイアンテナが得られる。これをフェーズドアレイアンテナといい、アンテナに流す電流の位相を変えるだけで、アンテナは固定したまま、強さ一定の電波ビームを任意方向に向けることができる。しかし実際にはアンテナ間の相互作用のため、一定振幅で任意の位相を与えることはきわめてむずかしい問題である。これを解決する方法として、電気的あるいは機械的な移相器を用いて調整する場合と、各アンテナにそれぞれ独立な発振器を接続し、この発振位相を制御して所望の位相を得る場合とがある。レーダーなどでも電波ビームの方向を高速度で変化させたい場合(これを走査という)には、アンテナの方向を機械的に変化させるかわりに、移相器を用いて、高速度で所望の位相を与えている。これを電子走査アンテナといい、大型のレーダーアンテナなどに利用されている。

[関口利男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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