日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラジアック」の意味・わかりやすい解説
ブラジアック
ぶらじあっく
Robert Brasillack
(1909―1945)
フランスの評論家、作家。時代への危機意識からデモクラシーを憎悪し、1931年『アクシオン・フランセーズ』紙から評論家としてデビューし、34年には週刊紙『ジュ・スイ・パルトゥー』の編集長となり、ファシズムを礼賛し、戦時中は積極的に対独協力を行ったため、44年のフランス解放とともに逮捕され36歳で死刑に処せられた。批評作品として『コルネイユ』(1938)や『映画の歴史』(1935、バルデッシュとの共著)があるが、小説家としても優れ、夢を追い続ける不安の世代の姿を甘美に描き出した『時の過ぎ去るがごとく』Comme le temps passe(1937)と『七つの彩り』Sept couleurs(1939)は小説史に残るものであろう。ほかに戯曲や回想録もある。
[渡辺一民]