死刑(読み)しけい(英語表記)capital punishment; Todesstrafe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

死刑
しけい
capital punishment; Todesstrafe

受刑者の生命を剥奪することを内容とする刑罰で,生命刑ともいわれる。執行方法は多様で,絞首,ガス殺,電気殺,銃殺などが用いられる。日本では死刑は憲法に違反するという違憲論もあるが,最高裁判所は合憲としている。日本刑法では絞首によると定めている。その適用範囲は殺人,強盗殺人などの凶悪犯罪や内乱,外患,放火といった国家社会の重大な法益に対する犯罪にかぎられている。しかし,この死刑制度に対しては,人道主義の立場から,また宗教上の教義から,さらには教育刑主義の要請などから廃止論も有力で,諸外国の刑事立法も廃止の方向に傾きつつある。

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百科事典マイペディアの解説

死刑【しけい】

受刑者の生命を奪う刑罰。執行方法には絞首(日本,米国の多くの州),斬首(ざんしゅ)(フランス,1981年廃止),銃殺(旧ソ連など),電気殺・ガス殺(米国の一部の州)等がある。日本では古くは火焙(ひあぶり),釜煎(かまゆで),(はりつけ),車裂(くるまざき),簀巻(すまき),斬首,梟首(きょうしゅ)(獄門)等残酷な方法が用いられたが,1880年旧刑法の成立により絞首一本の現行刑法(11条)と同じになった。絞首刑は1873年太政官布告により縊首の方法によって執行されているが,絞首刑が憲法第36条で禁止された残虐な刑罰に当たるのではないかという問題につき,最高裁は合憲とした。現行法では内乱罪外患罪放火罪殺人罪,強盗強姦(ごうかん)致死罪等18種の犯罪につき死刑を規定している。その執行は法務大臣命令によるが,この命令は判決確定から原則として6ヵ月以内にしなければならないとされている(刑事訴訟法475条以下)。これはおもに恩赦の機会を与えるためである。犯罪時に18歳未満の者に対しては,少年法に基づき死刑を科さず,代りに無期刑を科す。また,死刑の言渡しを受けた者が,心神喪失の状態にあるとき,妊娠しているときは執行は停止され,回復後または出産後に法務大臣の命令を待って執行される。1980年代以降,死刑執行人員は年平均数名程度である。→死刑廃止論死刑廃止条約
→関連項目刑罰

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とっさの日本語便利帳の解説

死刑

罪を犯した者の生命を奪う刑。日本では監獄内で絞首して執行する(絞首刑)。死刑の執行には法務大臣の命令が必要。

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世界大百科事典 第2版の解説

しけい【死刑】

生命を奪う刑罰である。かつては生命剝奪とともに身体の破損や苦痛の付加,加辱・みせしめ的要素(公開処刑)も刑罰内容とされた。そこでは死刑は単なる総称であり,刑罰内容・執行態様の相違による数種の刑名が存在した。やがて死刑は刑罰の中心としての地位を自由刑に譲り,各国ごとに執行方法の単一化,つまりは生命剝奪刑としての死刑の純化も実現した。現在では,死刑が廃止され,すでに過去の刑罰となった国も増えつつある。
[死刑の歴史]
 タブー侵犯者ないし犯罪者などを集団から追放し,あるいはその生命を奪うことは人間社会に古くからみられるが,現在のものも含めた近代国家の死刑の淵源は,中世ヨーロッパ社会における国家刑罰の出現に求められる。

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大辞林 第三版の解説

しけい【死刑】

犯罪者の生命を絶つ刑罰。日本の現行法では絞首による。 「 -に処する」 「 -台」 → 死罪

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

死刑
しけい

犯罪者の生命を奪う刑罰をいう。生命刑ともいわれる。日本の現行法は、刑法典(明治40年法律45号)のなかでは、内乱罪(首謀者についてのみ、77条1項1号)、外患誘致罪(81条)、外患援助罪(82条)、現住建造物放火罪(108条)、激発物破裂罪(117条1項前段)、現住建造物浸害罪(119条)、列車転覆致死罪(126条3項)、往来危険罪の結果的加重犯(127条)、水道毒物混入致死罪(146条)、殺人罪(199条)、強盗致死罪(240条後段)、強盗・強制性交等致死罪(241条3項)の12種の犯罪につき、また、特別法のなかでは、爆発物取締罰則(明治17年太政官(だじょうかん)布告32号)による爆発物使用罪(1条)、航空機の強取等の処罰に関する法律(昭和45年法律第68号)による航空機強取等致死罪(2条)、人質による強要行為等の処罰に関する法律(昭和53年法律第48号)による人質殺害罪(4条1項)、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)による組織的な殺人罪(3条1項7号)、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号)による致死行為(4条1項)、などにつき、死刑を選択できる規定が設けられている。ただ、外患誘致罪を除いては、死刑以外の懲役などの刑罰も含まれているので、これらの罪を犯した場合つねに死刑が言い渡されるとは限らない。これらの罪を犯した者のうち、とくに犯情の重い者に対してだけ言い渡されるのである。また、罪を犯したとき18歳未満の者に対しては、死刑にあたると判断されたときでも、つねに無期刑が言い渡されることになっている(少年法51条)。
 死刑そのもの、あるいは現在日本が採用している絞首刑が、残虐な刑罰を禁止する憲法第36条の規定に違反するのではないかということが昭和20年代から昭和30年代にかけて争われたことがあった。現在でもそのような主張をする者があるが、最高裁判所は、数次の判決によって、死刑およびその執行方法としての絞首刑は合憲である旨を明らかにしてきた。その条文上の根拠としては、憲法第31条があげられている。同条は「何人(なんぴと)も、法律の定める手続によらなければ、その生命若(も)しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定しているので、それは裏面から死刑を肯定したものと解するのである。そして、いったん死刑を肯定する以上、現在採用している絞首刑の方法は、執行中の苦痛の程度において、また死体損壊の程度において、他の執行方法よりとくに残虐とはいえない、とされた。
 死刑の執行数として、もっとも多い犯罪の種類は強盗殺人を含む強盗致死であり、次が一般の殺人となっている。そのほか、言い渡される頻度が比較的高いのは、強盗・強制性交等致死、爆発物取締罰則違反、現住建造物放火である。[西原春夫]

現行制度

死刑の執行方法は国によって異なり、絞首(アメリカの一部の州)、電気殺、ガス殺(アメリカの一部の州)などが、現在海外で行われているが、日本では第二次世界大戦終了前の軍刑法による死刑(銃殺)を除き、1880年の旧刑法(明治13年太政官布告36号、明治15年施行)以来一貫して絞首刑の方法だけを用いてきた。
 死刑は、判決確定ののちこれを執行するのであるが、それまでの間、死刑の言渡しを受けた者は刑事施設に拘置される(刑法11条2項)。死刑は、事柄が個人の重大な利益に関するものであるから、慎重を期し、とくに法務大臣の命令によって執行するたてまえとなっている。この命令は、判決確定の日から6か月以内にしなければならないとされているが、この期間には、上訴権回復もしくは再審の請求、非常上告または恩赦の出願もしくは申し出がなされ、その手続が終了するまでの期間、および共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、算入されない(刑事訴訟法475条)。したがって、死刑の言渡しを受けた者が数年間もその執行を受けないということも、まれではない。しかし、いったん法務大臣が死刑の執行を命令したときは、5日以内にこれをしなければならないものとされている(同法476条)。ただし、日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日および12月29日から12月31日までの日には執行は行わない(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律178条2項)。また、死刑の言渡しを受けた者が心神喪失の状態にあり、または妊娠しているときは、法務大臣の命令によってその執行を停止し、その状態が解消してから改めて命令を待って執行することになっている(刑事訴訟法479条)。死刑は、刑事施設内の刑場で、検察官、検察事務官、刑事施設の長またはその代理者の立会いのうえ執行される(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律178条1項、刑事訴訟法477条1項)。[西原春夫]

沿革

日本上代(日本法制史で冠位十二階制定の推古(すいこ)天皇11年=西暦603以前を指す)の死刑制度がどのようなものであったかは、あまり明らかでないが、その末期(500ころ)には、そのおもなものは絞首、斬首(ざんしゅ)、焚刑(ふんけい)の3種に分かれ、そのほか特殊な死刑として、罪人の死体を八つに切り、8国に分けて梟首(きょうしゅ)せしめる散梟(ちらしくさし)などがあったようである。下って上世(603~967)になると、中国から合理的な国家制度が移入され、刑罰制度も完備したが、当時の死刑は斬首と絞首とから成り立っていた。しかし、上世の後期、平安時代には仏教の影響などから刑を軽くする傾向が生まれ、とくに811年(弘仁2)以降、死刑の判決があっても朝廷が別勅をもって一等を減じ、遠流(おんる)に処するという慣例が生じ、1156年(保元1)までの実に345年の間、死刑の執行が行われなかったという事実が伝えられている。これなどは、世界の刑罰史上特筆すべき事実といわなければならないであろう。
 鎌倉時代になると、律令(りつりょう)時代の刑種がさらに整理され、死刑も斬首に限定されるようになったが、晒首(さらしくび)がこれに付加される場合も生じた。下って室町時代になると、切腹が武士に対する死刑の一種として登場することとなった。戦国時代には刑罰制度は、中世の特色として、各地方でやや異なった発達をみたが、一般に当時の殺伐な風潮を反映して、峻烈(しゅんれつ)、残酷なものであった。死刑の執行方法も同様で、磔(はりつけ)、逆さ磔、串刺(くしざし)、鋸挽(のこぎりびき)、牛裂(うしざき)、車裂(くるまざき)、火焙(ひあぶり)、釜茹(かまゆで)、簀巻(すまき)など、多くの種類の残酷な方法が用いられた。このような傾向は、江戸幕府成立後もしばらく続き、とくにキリシタンを弾圧する手段としてとった死刑の方法は残虐を極めたが、それも中期以降はしだいに緩和され、とくに8代将軍吉宗(よしむね)によって刑罰制度に大改革が加えられてからは、多様であった死刑の種類もかなり整理された。ただ、その適用範囲はかなり広く、窃盗やその手引きに対してまで死刑が科せられるような状態であった。江戸時代の死刑の執行方法としては、磔、獄門、火罪、切腹、斬罪(後二者は武士に対するもの)、死罪(死屍(しし)は様斬(ためしぎり)にされ、家屋敷、家財は没収)、下手人(利欲にかかわらない殺人にだけ科す斬首刑)などが認められた。鋸挽も制度としては存在したが、現実にはあまり用いられなかったようである。
 明治維新後最初に制定された刑法である仮刑律は、死刑を刎(ふん)法(斬首)と斬法(けさ斬り)とに分けたが、特別の場合には磔、火刑も用いられた。1870年(明治3)の新律綱領と1873年の改定律例は、もはや磔、火刑を認めず、死刑を絞首と斬首に限ったが、なお梟首の執行を認めていた。このような明治初年の死刑制度が絞首一本立ての現行刑法と同じになったのは、1880年の旧刑法以来のことである。[西原春夫]

死刑存廃論

死刑は廃止すべきであるという主張がなされるようになったのは、とくに17世紀の啓蒙(けいもう)期以降のことである。イタリアの啓蒙思想家、刑法学者であるベッカリーアが社会契約説に基づいて死刑廃止を主張したことは、とくに名高い。以来ドイツの刑法学者リープマンや作家のビクトル・ユゴー、ドストエフスキーら世界の多くの著名な人々によって死刑廃止論は繰り返し展開されてきた。日本でも明治初年にすでに津田真道(まみち)が死刑廃止を唱え、以来、小河滋次郎(おがわしげじろう)、花井卓蔵(たくぞう)、正木亮(あきら)、木村亀二(かめじ)らを経てその主張が今日まで受け継がれている。
 死刑廃止の論拠には種々のものがある。そのおもなものをあげてみると、次のとおりである。(1)死刑を認めることは殺人を公認することになり、国家自身が人道性、道義性、文化性を放棄することになる。(2)刑罰の任務は犯人の改善、教育、再社会化の点にあり、しかもこのことは殺人を含む重大な罪を犯した犯人にも貫徹、実現されなければならない。(3)今日の刑罰体系は自由刑を基本とするものに移行したのであって、生命刑、身体刑といった野蛮な刑罰は過去の遺物として葬り去らなければならない。(4)誤判の場合に取り返しがつかない。(5)死刑には信ぜられるほどに威嚇力はない。(6)民衆が死刑に執着するのは保守的感情からである。
 これに対し、死刑存置論は、国民の間はもちろん、学者のなかにもなお根強く主張されている。その論拠としては、(1)犯罪のなかには、天人ともに許しがたく、死をもってでなければ償えない凶悪なものがあり、これは国民一般の有する法的確信である、(2)重大な犯罪に対しては死刑をもってしなければ威嚇力はない、(3)死刑は、罪を犯さないという社会契約の際に承認した自誓的、自戒的制度である、などが主張されている。もっとも死刑存置を是認する学者のなかにも、国民の法的確信が死刑の肯定から否定に至ったときは廃止すべきだとする者や、死刑を適用できる犯罪を、他人の生命侵害を含む犯罪だけに限定すべきだとする者、誤判を防ぐために、死刑言渡しには裁判官の全員一致を必要とするように制度を改めるべきだと提案する者、さらには、中国で行われているような死刑の執行猶予の制度を日本にあうように修正のうえ導入すべきだと主張する者があることに注意しなければならない。
 この間にあって、日本の世論は第二次世界大戦後一貫して死刑存置に傾いている。とくに20世紀の末ごろから生命を奪う犯罪に対する遺族や一般社会の応報感情が強くなり、そのころから頻発した罪のない児童や、利害関係のまったくない一般通行人に対する無差別の残虐な殺人などが契機となって、厳罰化の傾向が促進され、死刑存置を望む世論は一気に高まった。政府の行った世論調査によると、1956年(昭和31)には死刑廃止18.0%、死刑存置65.5%、その他17.0%であったのが、1975年には廃止20.7%、存置56.9%、その他22.4%になり、廃止論がやや勢いを増した。しかし、1989年(平成1)には廃止15.7%、存置66.5%、その他17.8%となり、2004年(平成16)では廃止6.0%、存置81.4%、その他12.6%、2014年では廃止9.7%、存置80.3%、その他9.9%となっている。[西原春夫]

世界における死刑廃止の動向

このような日本の国内事情をよそに、世界では死刑を廃止する国が徐々に増加し、「アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワークセンター」のホームページによれば、あらゆる犯罪に対して死刑を廃止している国は104、通常の犯罪に対してのみ死刑を廃止している国は7、事実上の死刑廃止国は30、合計141。これに対し死刑存置国は57とされている(2016年12月時点。以下のリストも同ホームページによる。なお、国名には地域名も一部含まれる)。
(1)全面的に廃止した国(法律上、いかなる犯罪に対しても死刑を規定していない国) アルバニア、アンドラ、アンゴラ、アルゼンチン、アルメニア共和国、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン共和国、ベルギー、ベナン、ブータン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ブルンジ、カンボジア、カナダ、カーボベルデ、コロンビア、コンゴ共和国、クック諸島、コスタリカ、コートジボワール、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、ジブチ、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、フィンランド、フィジー、フランス、ガボン、ジョージア(グルジア)、ドイツ、ギリシア、ギニア・ビサウ、ハイチ、バチカン市国、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、キリバス、キルギス、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マケドニア共和国、マダガスカル、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、メキシコ、ミクロネシア連邦、モルドバ共和国、モナコ、モンテネグロ、モザンビーク、ナミビア、ナウル、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ニウエ、ノルウェー、パラオ、パナマ、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ルワンダ、サモア、サン・マリノ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セルビア(コソボ含む)、セイシェル、スロバキア、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ共和国、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、東チモール、トーゴ、トルコ、トルクメニスタン、ツバル、ウクライナ、イギリス、ウルグアイ、ウズベキスタン、バヌアツ、ベネズエラ
(2)通常犯罪のみ廃止した国(軍法下の犯罪や特異な状況における犯罪のような例外的な犯罪にのみ、法律で死刑を規定している国) ブラジル、チリ、エルサルバドル、ギニア、イスラエル、カザフスタン、ペルー
(3)事実上の廃止国(殺人のような通常の犯罪に対して死刑制度を存置しているが、過去10年間に執行がなされておらず、死刑執行をしない政策または確立した慣例を持っていると思われる国。死刑を適用しないという国際的な公約をしている国も含まれる) アルジェリア、ブルネイ、ブルキナ・ファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、エリトリア、ガーナ、グレナダ、ケニア、ラオス、リベリア、マラウイ、モルジブ、マリ、モーリタニア、モンゴル、モロッコ、ミャンマー、ニジェール、パプア・ニューギニア、ロシア連邦(1996年8月に死刑の執行停止を導入。ただしチェチェン共和国では1996年から1999年の間に執行があった)、シエラレオネ、韓国、スリランカ、スワジランド、タジキスタン、タンザニア、トンガ、チュニジア、ザンビア
(4)存置国(通常の犯罪に対して死刑を存置している国) アフガニスタン、アンティグア・バーブーダ、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ボツワナ、チャド、中国、コモロ、コンゴ民主共和国、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エチオピア、ガンビア、グアテマラ、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、ヨルダン、クウェート、レバノン、レソト、リビア、マレーシア、ナイジェリア、北朝鮮、オマーン、パキスタン、パレスチナ自治政府、カタール、セント・クリストファー・ネイビス、セント・ルシア、セント・ビンセント・グレナディーンズ、サウジアラビア、シンガポール、ソマリア、南スーダン、スーダン、シリア、台湾、タイ、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、アラブ首長国連邦、アメリカ合衆国、ベトナム、イエメン共和国、ジンバブエ[西原春夫]

死刑廃止条約

死刑に関する世界的動向として注目しなければならないのは、1989年12月15日、第44会期国連総会で、「死刑廃止に向けての市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書」(通称、死刑廃止条約)が採択されたことである。その第1条によれば「この選択議定書の当事国の管轄内にあるものは、何人も処刑されることはない(第1項)。各当事国は、その管轄下において死刑廃止のためのあらゆる必要な措置を講じなければならない(第2項)」とされている。日本は採決に際し、アメリカ、中国、イスラム系諸国とともに反対にまわり、採決は賛成59、反対26、棄権48という微妙なものとなった。この条約は日本ではまだ批准されていない。[西原春夫]
『斎藤静敬著『新版 死刑再考論』(1980・成文堂) ▽向江璋悦著『死刑廃止論の研究』(1960・法学書院) ▽辻本義男編著『史料 日本の死刑廃止論』(1983・成文堂) ▽菊田幸一編著『死刑と世論』(『明治大学社会科学研究所叢書』1993・成文堂) ▽辻本義男著『死刑論』(叢書『Open college review』1994・丸善プラネット) ▽団藤重光著『死刑廃止論』第5版(1997・有斐閣)』

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世界大百科事典内の死刑の言及

【刑事政策】より

… 犯罪にどのような刑事制裁を規定することによって対処すべきかということについては,さまざまな議論が積み重ねられてきた。日本の刑法は,刑として,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料(以上は主刑),没収(付加刑)を規定している。生命刑である死刑については,それを存置すべきかが問題となる。…

【刑場】より

…一般には公権力によって設置された死刑執行の場をいう。
[日本]
 江戸時代には,御仕置場(おしおきば)ともいわれた。…

【刑罰】より

…日本国憲法でも,残虐な刑罰を絶対に禁止することが宣言されている(36条)。18世紀の絶対主義国家に至るまで,死刑とともに刑罰制度の中心をなしていた身体刑すなわち身体を傷つける刑罰は,現在では文明国からほとんどその姿を消した。身体刑は,たとえば手や足を切る刑,笞刑(ちけい)(身体を笞(むち)で打つ刑)などであり,日本でも笞刑は明治初年まで存在した。…

【刑吏】より

…刑罰,とくに死刑の執行にあたる人をいう。死刑が存在するかぎり何らかの形で刑吏が必要とされるが,死刑のあり方が違うと刑吏の存在様式も異なってくる。…

【死罪】より

…また,死に相当する罪をいう。日本古代における死刑は,すでに《隋書》倭国伝中に殺人,強盗,姦の罪に対して科されたことが見えるが,律令制度の死罪は大辟(だいびやく∥たいへき)罪ともいい絞,斬の2種があり,斬は絞より1等重いとする。絞は受刑者を棒に縛し,2本の綱で首を挟み,その綱の左右を2人の執行人が絞り上げて窒息死させる。…

【量刑】より


[量刑の手順]
 実際の量刑判断の手順をみると,まず,各法条に規定されている刑(法定刑という。死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料の6種のほか,付加刑たる没収がある)が一種であれば問題ないが,複数の刑種が選択的に規定されている(ときには併科規定もある)場合には,そのどれかが選択される。次いで,(1)再犯加重,(2)法律上の減軽,(3)併合罪加重,(4)酌量減軽の順によって加重減軽がほどこされる(刑法72条)。…

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