化学辞典 第2版 の解説
ヘキサフルオロニオブ(Ⅴ)酸塩
ヘキサフルオロニオブサンエン
hexafluoroniobate(Ⅴ)
MⅠ[NbF6]で示されるフルオロ錯体.Nb2O5またはNbF5に濃いHFを作用させるか,Nb2O5と相手の金属の塩化物の混合物にBrF3を作用させるか,相手金属の炭酸塩とNbの混合物に過剰のBrF3を作用させると生成する.たとえばK塩は正方晶系で,[NbF6]- はひずんだ正八面体型構造.Nb-F約2.13~2.15 Å.このNbF6-と K+ は結晶中でCsCl型配列をしている.Ag塩も同型.Li,NH4塩はりょう面体晶系,Na塩は立方晶系である.アルカリ金属塩はいずれも無色の結晶.水に可溶,加水分解して酸化物塩などになる.濃いHFの溶液や,溶融塩中では [NbF6]-,さらに [NbF7]2- の生成も見られる.しかし,酸の濃度が低いと,加水分解が起こって,[NbOF5]2- などの酸化物塩を生じる.また,二量体(SeF3)+[Nb2F11]-も得られている.正八面体型の2個のNbF6が,頂点Fを1個共有してつながった構造をもつ.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報