日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホウネンエソ」の意味・わかりやすい解説
ホウネンエソ
ほうねんえそ / 豊年狗母魚
hatchetfish
[学] Polyipnus spp.
硬骨魚綱ワニトカゲギス目ムネエソ科の一属の総称。この和名はこれまで数種に用いられたため、混乱を避け、属の名称として用いる。世界の深海に広く分布する。体高が高く、体はきわめて扁平(へんぺい)である。口はほとんど垂直に近く、歯は小さい。腹縁は薄くて鋭い。臀(しり)びれの基底上方に三角の透明板がない。後側頭骨の棘(とげ)はよく発達し、背びれ前方の背刀は短い棘からなる。体側や喉胸(こうきょう)部に列をなして並ぶ発光器群と、散在する単独の発光器がある。腹部発光器は10個、臀びれ発光器は6個以上ある。本属は21種が知られている。水深50~400メートルに生息する深海魚である。昼間は海底近くに、夜間は海面近くへ上昇することが知られる。近縁属にはムネエソ属、テンガンムネエソ属などがある。
[上野輝彌]