日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホウ酸塩」の意味・わかりやすい解説
ホウ酸塩
ほうさんえん
borate
ホウ酸と塩基の中和によって生成する塩。オルトホウ酸塩MI3BO3、二ホウ酸塩MI4B2O5、メタホウ酸塩MIBO2、四ホウ酸塩MI2B4O7などが知られている。酸化ホウ素と金属酸化物とを溶融するか、ホウ酸またはその塩の水溶液から複分解でつくる。たとえば、オルトホウ酸塩にMg3(BO3)2(小藤(ことう)石)がありBO33-イオンが存在する。二ホウ酸塩にはMg2B2O5(遂安(すいあん)石)がありB2O54-イオンが存在する。メタホウ酸塩には、環状のB3O63-イオンを含むNaBO2と、鎖状の(BO2-)∞イオンを含むCa(BO2)2がある。四ホウ酸塩ではNa2B4O7・10H2O(ホウ砂(しゃ))が有名で、[B4O5(OH)4]2-イオンが存在する。アルカリ金属塩は無色、水に可溶。
[守永健一・中原勝儼]