遂安(読み)すいあん(その他表記)Suan

改訂新版 世界大百科事典 「遂安」の意味・わかりやすい解説

遂安 (すいあん)
Suan

朝鮮民主主義人民共和国黄海北道東部の郡。彦真山脈の南麓に礼成江上流が形成した遂安盆地を中心とする山間地帯である。畜産と農業が産業活動の中心となっている。郡の北部にある彦真山(1120m)の近くには,李朝時代末に開発された朝鮮有数の金山があり,これによって全国に名が知られた。彦真山一帯はこのほかに銅鉱床が広く分布し,採掘が進められている。
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遂安周辺の諸鉱山のうち,とくに笏洞(ホルドン)鉱山(ホルコルHolkol鉱山ともいう)は重要である。石灰岩中に花コウ斑岩が貫入して形成されたスカルン鉱床で,笏洞鉱体,新鉱体などの鉱体が知られている。鉱石ビスマスと金を伴う斑銅鉱黄銅鉱で,銅,金,ビスマス等を採取しているが,かつては,年産数十kgに達する金を産出した。
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百科事典マイペディア 「遂安」の意味・わかりやすい解説

遂安【すいあん】

朝鮮民主主義人民共和国,黄海北道北東部の金鉱山。礼成江と南江の中間の彦真(げんしん)山脈中にあり,彦真山の北側にある笏洞(こつどう)鉱床と南側にある楠亭鉱床を合わせて遂安金鉱と呼ぶ。花コウ岩と祥原系(先カンブリア時代)石灰岩面との境界部にできた接触交代鉱床で,朝鮮で最も古い鉱山の一つ。銀,黄銅鉱,金雲母,ビスマス,リン,ザクロ石,石灰石なども産出。
→関連項目黄海北道

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「遂安」の意味・わかりやすい解説

遂安
すいあん / スアン

北朝鮮、黄海北道(こうかいほくどう/ファンヘプクド)遂安郡にある邑(ゆう)(町)。郡の所在地。金の産地として知られる。金鉱は古い金山の一つで、遂安郡楠亭里(なんていり)にあり、原生代の炭酸塩岩類、端川(たんせん)岩群、鴨緑(おうりょく)岩群で構成されている。鉱石は黄銅鉱、黄鉄鉱輝水鉛鉱、自然金からなり、ざくろ石橄欖石(かんらんせき)のスカルン中に含まれている。またルードウィヒ石、小藤石(ことうせき)、遂安石も産出される。

[魚 塘]

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