化学辞典 第2版 「ホスホラン」の解説
ホスホラン
ホスホラン
phosphorane
リン原子が五つの共有結合をつくっている五価のリン化合物の総称.典型的なものはペンタフェニルホスホランP(C6H5)5で,ヨウ化テトラフェニルホスホニウムとフェニルリチウムとの反応で得られる.一方,ホスホニウム塩とアルキルリチウムとの反応で生成するアルキリデン(またはアラルキリデン)トリアルキル(またはアリール)ホスホランはP-イリドとよばれ,アルデヒド,ケトンなどと反応してオレフィンを生成する.これはウィッティヒ反応といわれ,炭素-炭素二重結合の形成反応として重要である.
これらアルキリデンホスホランは不安定で,単離が困難とされていたが,
(CH3)3P=CH2, (C2H5)3P=CH2,
(CH3)2(C2H5)P=CH2, (C2H5)3P=CHCH3
なども単離されるようになった.これらは無色の液体で,不活性ガスの下では長期間安定であり,その分子構造も明らかにされた.[別用語参照]イリド
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報