日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホモジネート」の意味・わかりやすい解説
ホモジネート
ほもじねーと
homogenate
細胞分画や生体成分の分離を行うため、ホモジナイザーhomogenizerとよばれる器具を用い、適当な緩衝液や生理的食塩液を加えて冷却しながら生体組織を擦りつぶし、細胞を破壊して得られた懸濁液をいう。抽出液とは異なり、いちおう細胞内酵素のすべてが含まれているものとみられ、組織を擦りつぶして粥(かゆ)状にしたブライBrei(ドイツ語)や切片を試料とするかわりに使い、代謝の研究や酵素の抽出に用いられている。
なお、ホモジナイザーとしては摩砕法が一般に用いられ、動植物組織を対象とするものではポッター‐エルビーエムPotter‐Elvehjem型ホモジナイザーがもっとも広く使われ、単にホモジナイザーといえばこれをさす。ガラス製で内側を擦った外筒と、これにあわせたテフロン製で外側を擦ったペッスルpestle(乳棒)からなり、外筒とペッスルとの間の間隙(かんげき)(クリアランスclearance)に入れた細胞をペッスルの回転と上下運動によって破壊する。微生物細胞のホモジネートをつくるには、音波処理(ソニケーターsonicator、超音波破砕)や加圧型細胞破壊装置(フレンチプレスFrench press)などが使われる。
[景山 眞]
『阿南功一ほか編『基礎生化学実験法』(1974・丸善)』