日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルトキエビッチ」の意味・わかりやすい解説
ボルトキエビッチ
ぼるときえびっち
Ladislaus von Bortkiewicz
(1868―1931)
ドイツの経済学者、統計学者。ロシアのペテルブルグ(現サンクト・ペテルブルグ)に生まれ、ペテルブルグの大学を卒業後ドイツに留学し、1901年からベルリン大学で教職についた。彼は、経済学の分野では、マルクス経済学批判、とくに生産価格論と絶対地代論についての批判で知られている。生産価格論に関して、彼は「マルクス体系における価値計算と価格計算」(1906~07)、「『資本論』第3巻におけるマルクスの基礎的理論構造の訂正について」(1907)の2論文で価値の生産価格への転形について数学的方法を用いて批判的に検討した。これはのちに「転形問題」としてマルクス経済学者によって検討された。また、統計学の分野では、『少数の法則』(1898)や『反復事象論』(1917)などを著し、W・レキシス以来のドイツの統計学を数理統計学や確率論などの面で著しく前進させた。
[藤田勝次郎]