改訂新版 世界大百科事典 「ポアソンの小数の法則」の意味・わかりやすい解説
ポアソンの小数の法則 (ポアソンのしょうすうのほうそく)
Poisson's law of small numbers
小さな確率で変化する独立試行列の和の分布がポアソン分布に収束することを一般的に述べた法則である。典型的な形はS.D.ポアソン自身によって発見された次の場合である。Xnk(k=1,2,……,n)が互いに独立でパラメーターλ/nの二項分布に従うならば,和Sn=Xn1+Xn2+……+Xnnはn→∞とするときパラメーターλのポアソン分布に収束する。より一般の場合にも,和Snを構成する各Xn1,Xn2,……,Xnnに対して値0,1以外を取る確率のkについての和が小さくかつ1を取る確率の和がλに近いという仮定と若干の付加条件を置くと同じ結果が成立する。しばしば,Xnkとして時刻(k-1)/nからk/nの間に変化がおきたときに1,そうでないとき0を取る確率変数とする。この考えから,待ち行列理論や神経モデルの根底にポアソン分布あるいはポアソン過程が適用されることをよく説明することができる。
執筆者:櫃田 倍之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報