改訂新版 世界大百科事典 「ポリウレタン樹脂塗料」の意味・わかりやすい解説
ポリウレタン樹脂塗料 (ポリウレタンじゅしとりょう)
polyurethan resin coating
ウレタン結合の形成によって生成されるポリウレタンが塗膜となる塗料。塗膜は光沢,肉持ち感にすぐれ,硬度,耐薬品性が良好で,たわみ性に富み,耐摩耗性が大きい。ポリウレタン塗膜形成主要素であるイソシアネートには芳香族系と脂肪族系があり,前者は黄変しやすい欠点がある。また,イソシアネートモノマーには,その種類により程度の差はあるが毒性があり,取扱いに注意を要するので防災指針(日本化学会防災化学委員会による)が定められている。重合してポリウレタン樹脂になると,蒸気圧(揮発性)が低くなるので毒性は低下する。JISでは家庭用床塗料を1種と2種に分類しているが,1種は不飽和脂肪酸基の酸化重合によって硬化する油変性ポリウレタン樹脂,2種はイソシアネートの-NCO基が空気中の湿気と反応して硬化する湿気硬化型ポリウレタン樹脂を主原料としたもので,これらは透明仕上げ用として,木製の床,廊下等に用いられる。-NCO基とアクリルポリオールの-OH基の反応で硬化させるポリオール硬化型塗料は2液型であり,自動車補修用,大型車両・機械用,皮革・プラスチック用,耐薬品特殊塗料,木工塗装に使用される。
執筆者:大藪 権昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報