…クローデル演劇は,近代劇に宗教的次元を回復することで,西洋近代の世界と人間の根拠を問い直そうとする。したがって,故郷タルドノアの口碑と詩人の想像力の原風景の上に構築された中世風奇跡劇《マリアへのお告げ》(1911。決定稿1948)を除くと,アナーキスト革命の《都市》,アメリカ金融資本主義を舞台とした《交換》,大革命後の19世紀フランス・ブルジョアジーの系譜学である《人質》(1910),《堅いパン》(1914)など,いずれもなまなましい肉の厚みのある西洋近代人の劇の体現であり再読解である。…
※「マリアへのお告げ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」