マールブルグ出血熱(読み)マールブルグシュッケツネツ(その他表記)Marburg disease

デジタル大辞泉 「マールブルグ出血熱」の意味・読み・例文・類語

マールブルグ‐しゅっけつねつ【マールブルグ出血熱】

Marburg hemorrhagic fever》⇒マールブルグ病

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科 「マールブルグ出血熱」の解説

マールブルグ出血熱
マールブルグしゅっけつねつ
Marburg disease
(感染症)

どんな感染症か

 1967年8月西ドイツのマールブルグ市で、突然、原因不明の熱性疾患が流行しました。ワクチン製造のためにウガンダから輸入されたアフリカミドリザルの組織・血液に接触した25人が患者で、7人が死亡しました。

 同じころ、フランクフルト市、旧ユーゴスラビアのベオグラード市でも同様にウガンダから輸入されたサルに接触した人が熱性疾患を発症しました。マールブルグ市での患者を含めて合計32人の患者が確認されています。

 これらの患者から原因ウイルスであるマールブルグウイルスが初めて分離されました。このウイルスによる出血熱をマールブルグ出血熱と呼んでいます。

 ヨーロッパでのその流行後には、ケニアジンバブエで散発的な発生が確認されていただけでしたが、1998~99年にコンゴ民主共和国で100人以上にのぼる流行が確認されました。さらに、2004年~05年にはアンゴラで、約400人の患者が発生したマールブルグ出血熱が流行しました。この流行では、8割の患者さんが死亡しました

 患者の多くは洞窟に入っていたり、金鉱山で働いていたりしていることなどから、コウモリラットなどの動物が宿主(しゅくしゅ)ではないかと推定されていましたが、最近、アフリカに生息するコウモリが宿主であることが確認されました。

症状の現れ方

 潜伏期間は3~10日間です。症状は発熱悪寒(おかん)、頭痛、筋肉痛、吐き気・嘔吐胸痛腹痛咽頭痛(いんとうつう)下痢、紫斑、吐血下血、意識障害などです。死亡率は20~80%です。

検査と診断

 発症初期の患者さんの血液から容易にウイルスが分離されます。臨床症状だけからウイルス性出血熱を診断することは難しく、ウイルス抗原およびウイルスに対する特異的抗体検出によるウイルス学的検査に基づいて診断を下すのが基本です。

治療の方法

 エボラ出血熱と同様、マールブルグ出血熱には特異的な治療法はありません。安静、ショックに対する治療、輸液・循環の管理などの対症療法が基本です。専用病棟に隔離されたうえで治療が行われます。

西條 政幸

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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