マールブルグウイルス(RNAウイルス、フィロウイルスの一種)によるウイルス性出血熱(流行性出血熱)の一つで、マールブルグ病、マールブルグ出血熱ともよばれる。日本では1977年(昭和52)旧厚生省により、ラッサ熱、エボラ出血熱とともに国際伝染病と定義され、現在は感染症予防・医療法(感染症法)により、1類感染症に分類され、検疫法により検疫感染症(検疫伝染病)に指定されている。
1967年ドイツのマールブルクを中心に、フランクフルトおよびユーゴスラビア(現セルビア)のベオグラードの3都市で夏から初秋にかけて突然発生した急性発熱性出血性の全身感染症であり、アフリカのウガンダよりワクチンの製造・検定用に輸入したアフリカミドリザルの感染臓器を処理した研究所の技師がまず発病し、さらに院内感染によって流行した。すなわち、ウイルスによる汚染物や患者から感染し、潜伏期は4~9日。発症は急激で、ミドリザルを扱ったり、アフリカをヒッチハイクしたような経験者に突然、頭痛に伴って39℃以上の高熱が出現し、発病後24時間以内に嘔吐(おうと)、水様性下痢がみられ、さらに5~8日後にかゆみを伴わない発疹(ほっしん)がみられるのが特徴的である。重症では出血傾向がみられ、8~16病日に死亡する場合が多い。対症療法しかなく、感染防止のためには、感染者は厚生労働省等が指定した感染症指定医療機関に入院し、処置を受ける必要がある。
[松本慶蔵]
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