日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムスタファ」の意味・わかりやすい解説
ムスタファ(2世)
むすたふぁ
Mustafa Ⅱ
(1664―1703)
オスマン朝第22代スルタン(在位1695~1703)。即位時、第二次ウィーン包囲失敗後の戦争が、オーストリア、ロシア、ベネチア、ポーランドとの間に続けられていた。即位直後、自ら陣頭にたちドナウ川を渡り、オーストリア軍に大勝した。しかし、その後は不振となり、オスマン軍はプリンス・オイゲンのオーストリア軍に敗れ、大宰相はじめ多数の高官、3万人の兵士を失い、1699年カルロウィッツ条約の締結を余儀なくされた。これにより、ハンガリー、ダルマチア、モレア半島を失い、ヨーロッパに対するオスマン帝国最初の領土喪失となった。敗北による社会混乱が発生し、イスタンブールのイェニ・チェリ軍団が蜂起(ほうき)し、エディルネのスルタンの下に迫り、ムスタファは廃位された。
[設楽國廣]