日本大百科全書(ニッポニカ) 「モレタニア号」の意味・わかりやすい解説
モレタニア号
もれたにあごう
Mauretania
イギリスのキュナード社所属の豪華客船。1907年に政府の補助を受けて建造、同年に北大西洋横断定期航路船の先駆けとして就航した。3万1938総トン、長さ240.8メートル、25個のボイラーから蒸気を供給され、四組のタービンで合計7万5000馬力を出し、四軸スクリューを毎分180回転させて速力26ノットを出した。ドイツ船カイザー・ウィルヘルム2世号にかわって1907年より22年間ブルーリボンを保持し続け、その最長保持記録をつくった。第一次世界大戦中海軍に徴用され、19年にサウサンプトン―ニューヨークの航路に復帰。29年ブレーメン号にブルーリボンを奪われたが、29年8月には自己最高速力記録27.4ノットを出した。35年4月、解体のためメタル・インダストリーズ社に売却された。姉妹船にルシタニア号Lusitaniaがある。
[茂在寅男]