翻訳|turbine
流体のもつエネルギーを仕事に変換して,動力を発生する回転式の機械。高速で回転する回転体を主要部とし,これには全円周にわたって密に植えられた羽根の列が数段備わっている。流体は車室に固定して設けられた通路で膨張して高速の噴流となり,ちょうどうまく回転羽根に吹きつけるように作られている。このように,車室に固定され高速流を作る部分と回転羽根列とが1組となって仕事を発生する基本要素を構成し,圧力段と呼ばれる。大きい圧力差でも,複数の圧力段をおくことによって,圧力を順次落として仕事をとり出すことが可能である。
タービンには蒸気タービン,ガスタービン,水車,空気タービンなどがある。蒸気タービンは蒸気のエネルギーを利用したもので,火力発電所で代表される蒸気原動所の動力発生部として用いられ,ボイラーで発生した高温高圧の蒸気を復水器の低圧まで膨張させる間に仕事を発生する。ガスタービンは高温高圧の燃焼ガスを大気圧まで膨張させて動力を発生するのに用いる。ふつうにガスタービンというときには,ガスタービンサイクルを構成する一連の機器,すなわち,空気圧縮機,燃焼器および動力発生をつかさどるタービンをまとめ,熱機関として一体としたものを指すことが多い。航空機に用いられるジェットエンジンもガスタービンの一種である。空気タービンは圧縮空気のエネルギーを利用して仕事を発生させるものであり,また,水車は落差を利用して高い所にある水の位置エネルギーを仕事に変えるもので水タービンとも呼ばれ,もっぱら水力発電に用いられている。
タービンはその主要部を回転運動によって構成できるので構造が比較的簡単である。このため高速回転が容易であるほか,大流量の流体,言い換えれば大流量のエネルギーを連続的に処理できるという特徴をもち,したがって高回転数・大出力が必要な用途に適している。一方,定速かつ定負荷運転に向いており,速度や負荷が変わった場合には効率の低下を免れないという短所もある。このような特性は発電機駆動用原動機としてかっこうで,実際,蒸気タービンは電力需要の拡大と軌を一にして発達してきた。現在,1台の出力が100万kWを超える蒸気タービンが作られている。陸用ガスタービンの実用化は比較的新しいが,今日では,単機出力10万kW程度のものが発電用として稼働している。現在,大型ディーゼルエンジンでも1台で4万kW程度の出力まで達成可能であるが,これを超えるような動力を必要とする大型船舶の推進機関にはタービンを用いざるを得ず,巨大な歯車減速装置でプロペラシャフトの回転数まで減速せねばならない。
→ガスタービン →空気タービン →蒸気タービン →水車
執筆者:田中 宏明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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流水、蒸気、ガス、空気などの運動エネルギーを有用な機械的仕事に変換する回転型の機械。19世紀初頭、フランスのブールダンLaude Burdin(1790―1873)が新型の水車をタービンとよんだのが始まりである。高所のダムから水を落とし、それを翼に当てて流水のエネルギーを利用するのが水力タービンで、その形式によりペルトンタービン、フランシスタービン、カプランタービンなどがある。円筒の周囲に多数の羽根を植え付け、それに蒸気をノズルより噴き付けて高速回転を得るのが蒸気タービンで、その形式によりド・ラバルタービン、パーソンスタービンなどがある。いずれのタービンも衝動型と反動型とがある。高温・高圧のガスの有するエネルギーを利用するのがガスタービンである。また高圧の圧縮空気の有するエネルギーを利用するのが空気タービンである。水力タービン、蒸気タービンとも火力発電所、原子力発電所などで発電機を動かすのに利用されている。
[中山秀太郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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