ブルーリボン(読み)ぶるーりぼん(英語表記)Blue Ribbon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルーリボン」の意味・わかりやすい解説

ブルーリボン
ぶるーりぼん
Blue Ribbon

一般的には最高の栄誉者に贈られる青いリボン付きの栄誉章のことであるが、とくに大西洋横断船の最高速力レコード保持船に与えられた栄誉をさす。もともと大洋航海船の速力競争は、19世紀初頭のクリッパー船の活躍時代、すなわち帆船黄金時代から始まったのであるが、イギリスとオーストラリアの間を走る羊毛積取り船(ウール・クリッパー)においてはとくに、1年の間にもっとも迅速に走った記録を承認された船に対して青い吹流しともいえるブルーリボンを与えて、これをマスト頂に掲げさせたことから始まる。これが北大西洋横断の定期航路の客船に伝わり、1840年7月にイギリスのキュナード社の木造外輪蒸気船ブリタニア号が大西洋横断定期航路に就航して以来、1952年7月のアメリカのユナイテッド・ステーツ・ラインズ社の世界最高速船ユナイテッド・ステーツ号の航海まで、この競争は続いた。1935年にはイギリスのハロルド・ハレスHarold Hales議員がブルーリボン・トロフィー寄贈、1838年以降のレコード保持船名をこれに刻み付けることにして格づけがなされた。その方法として、ヨーロッパ側においてはビショップス・ロック灯台、ファスネット灯台あるいはタティファ岬灯台を基点とし、北アメリカ側はナンタケット灯台またはアンブローズ灯台船を基点として、両基点間の航海時間による速力計算で覇を競うこととした。

[茂在寅男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルーリボン」の意味・わかりやすい解説

ブルーリボン
blue ribbon

一般的には最高の栄誉の印として授けられる青色のリボンをいう。元来イギリスの最高勲章であるガーター勲章が青いリボンつきだったことからきている。特に大西洋横断船の最高速力記録保持船に与えられた栄誉をさした。これは 19世紀初期イギリス-オーストラリア間に就航した羊毛積取船 (ウール・クリッパー) で,1年を通じて最高速で航走し早く羊毛を積取った船に授与し,マストに掲げさせたことに始る。その後,20世紀に入って船の海上輸送効率が飛躍的に向上,海運業者は大西洋で激しい競争を演じるにいたった。新しく投入された新造船は年々速力を増し,横断記録を樹立していったが,このときの覇者に対して,19世紀の羊毛船にたとえ,ブルーリボンの覇者という賛辞が世界中に伝えられた。 1934年にイギリスの H.ヘールズ議員がトロフィーを寄贈,1834年以降の記録保持船の名を刻みつけることになり,1935年にはブルーリボンを規定する海運会社の代表者による国際委員会も結成された。現在までの最高スピードは 1989年にハワイの不動産王 T.ジェントリーが所有する『ジェントリー・イーグル』号の出した平均巡航速度 55.61kn,2日 14時間7分である。これが太平洋横断航路にまで広がり,太平洋のブルーリボン競争が日本船によって展開された。今日では映画演劇などのコンクールでも,最優秀作にブルーリボン賞を与える行事が普及している。

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