ヤクシャ(英語表記)yakṣa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤクシャ」の意味・わかりやすい解説

ヤクシャ
yakṣa

インド最古の文献である『リグ・ベーダ』にすでにみえる古い語で,中性語として現れ,「不可思議な顕現,現れ」とも考えられる概念を示した。古典サンスクリット語の時代には,男性名詞となり,富裕で,不思議な力をもつ半神的な,一群精霊をさすようになった。シバ神従者とされ,シバ神の住所であるカイラーサ山に住むとされる。配偶者はヤクシー yakṣīまたはヤクシニー yakṣiṇīと称せられ,美しい姿で,しばしば裸身を現し,またマンゴー樹林に遊ぶともいわれる。現代インドでもこの神格に対する信仰は,多少の概念の変容はあるが生きているといえる。ヤクシャ仏教にも取入れられ,漢訳仏典では夜叉,薬叉などと音写され,日本では夜叉というときには恐ろしい鬼神を連想するようになった。

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