改訂新版 世界大百科事典 「ヤシリス」の意味・わかりやすい解説
ヤシリス (椰子栗鼠)
palm squirrel
インドからマラヤ,スマトラ,ボルネオなどに広く分布する背中に数本の明色の縞模様をもったリス。齧歯(げつし)目リス科ヤシリス属Funambulusに属する哺乳類の総称で,ミツスジヤシリス(インドシマヤシリス)F.palmarum,イツスジヤシリス(キタシマヤシリス)F.pennantiなど5種がある。外観はシマリスに似るが,尾がやや長く樹上生の傾向が強い。体長11.5~17.8cm,尾もほぼ同長。さまざまなタイプの森林,灌木林にすむほか人をおそれず,人家近くにもふつうにみられる。昼行性で,樹上,地上を問わず活発に動きまわって種子,果実,芽,葉,花,昆虫などを食べる。巣は樹皮などの繊維を使って樹上につくり,雌は年に2~3回,1産1~5子を生む。
近縁の属にアフリカに分布するオオヤシリス属(アブラヤシリス属)Protoxerusとアフリカヤシリス属Epixerusがある。これらの属には一部の種を除いて縞模様がない。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報