日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマリス」の意味・わかりやすい解説
シマリス
しまりす / 縞栗鼠
Asiatic chipmunk
[学] Tamias sibirica
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目リス科の動物。北海道、樺太(からふと)(サハリン)、シベリア、モンゴル、朝鮮半島、中国に分布する。ホンドリスよりも小形で、体長12~16センチメートル、尾長9~13センチメートル。体色は黄土色で、背側には5本の黒い縦縞(たてじま)が走る。平地から山地までの森林、低木林、岩地などに生息し、水辺近くを好む。木登りがうまいが、活動はおもに地表で行い、巣穴を地表に掘る。巣穴は普通、深さが50センチメートル以内、全長1~2メートル、ときに3メートルで、居住用の巣室と1、2室の貯蔵庫、および便所がある。昼間活動して、おもな食物であるマツなどの種子のほか、木の芽、キノコ、果実などを食べる。夏から秋の間に貯蔵庫に大量の種子を蓄える。種子の運搬には両頬(ほお)の頬袋を使う。10月~翌3月までは巣穴内で休眠するが、その間もときどき起きては貯蔵した食物を食べる。交尾期は4月で、5、6月に4~6子を産む。天敵はオコジョなどの食肉類と猛禽(もうきん)類である。毛皮はシベリアでは大量に取引される。日本では朝鮮半島産のものがペット用に多量に輸入されているが、逃亡して野生化するおそれがあり、問題が多い。
[今泉吉晴]