日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマウズラ」の意味・わかりやすい解説
ヤマウズラ
やまうずら / 山鶉
広義には鳥綱キジ目キジ科キジ亜科ヤマウズラ族に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちのヤマウズラ属をさす。ヤマウズラ族Perdiciniは旧世界産の中形・小形種の集まりで、イワシャコ属Alectoris、ヤマウズラ属Perdix、ウズラ属Coturnix、コジュケイ属Bambusicolaなど25属約100種からなる。太った体に小さい嘴(くちばし)と短い尾をもち、地上性。雌雄ほぼ同色、雄の足にけづめのある種が多い。キジ亜科にはほかに、大形で尾が長く、雌雄異形のキジ族がある。ヤマウズラ族に生態と体形が似ている新世界産のハウズラ類(アメリカウズラ類)は、嘴の構造が違い、別のハウズラ亜科にまとめられている。
ヤマウズラ属には3種があり、ヨーロッパからアジアにかけて分布する。尾羽が16~18枚と多く、けづめがない。ヨーロッパヤマウズラP. perdixは、ヨーロッパ、アジア南部、イギリスに自然分布し、猟鳥として放鳥されたものが北アメリカでは完全に土着化している。全長約30センチメートル。頸(くび)、胸、腹が灰色、ほかは黄褐色をしている。雄の腹には大きな黒褐色の斑(はん)があるが、雌は小さい。耕作地、林縁、半砂漠に生息し、地上で草の種子を採食する。
[竹下信雄]