改訂新版 世界大百科事典 「ヨシフボロツキー」の意味・わかりやすい解説
ヨシフ・ボロツキー
Iosif Volotskii
生没年:1439ころ-1515
ロシアの修道士,宗教思想家。俗名イワン・サーニンIvan Sanin。20歳のころモスクワに近いボロフスキー修道院で剃髪をうける。1479年ボロコラムスキー地方にみずからヨシフォ・ボロコラムスキー修道院を建て,しだいに多くの弟子を集めるようになる。このころからノブゴロドやモスクワに広がった異端を摘発する一方,修道院の社会的責務を重視してその土地所有を肯定する論陣をはる。その立場はニル・ソルスキー,バシアン・パトリケーエフら非保有派の批判をうけるが,ロシア教会内では多数派となり,ヨシフ派を形成した。それとともに彼はモスクワ大公権力にも接近し,晩年には大公権力を賛美するに至った。1578年地方聖人,91年全ロシアの聖人に列聖された。主著に《啓蒙者》がある。
執筆者:栗生沢 猛夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報