仏門に入る者が髪や髭(ひげ)を剃(そ)ること。剃頭(ていとう)、落髪(らくはつ)、浄髪(じょうはつ)、削髪(さくはつ)、薙髪(ちはつ)、落飾(らくしょく)ともいう。経典によれば、剃髪は煩悩(ぼんのう)を断じ、おごりたかぶる心を除くためともいわれる。仏教では釈尊以来行われたが、釈尊当時のインドでは頭髪を剃ることは罪の一つで、人々はそれを恥としたらしい。今日では在家者が出家する得度(とくど)式で剃髪が行われるが、浄土宗や真宗では頭上にかみそりをあてて剃髪に擬する。これを俗に「おかみそり」という。古くは、女性の出家者は髪をすべて落とすことはなく肩のところで切りそろえたが、それを「尼そぎ」と称した。
[松本史朗]
僧侶が出家するとき,俗世間を捨てて仏弟子になる心を表明するために髪をそり,円頂になること。これを〈棄恩入無為〉といい,得度式の受戒に先立っておこなわれる。これは戒律によって義務付けられたものであるが,大乗仏教では菩薩は俗形のままであり,如来も螺髪(らほつ)をつけており,ひとり地蔵菩薩だけが円頂比丘形である。しかし沙弥(しやみ),沙弥尼,比丘(びく),比丘尼は戒律にしたがって剃髪し,僧堂などでは5日目ごとの剃髪が規定されている。浄土真宗では法名(戒名)をうけるための帰敬式を,得度式に擬して〈おかみそり〉といい,善知識が髪にかみそりをあてる。死者の引導にも髪をそったが,いまは形式化して,かみそりをかざるだけというものが多い。
執筆者:五来 重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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