…楽曲のうちに用いられる音を整理して高さの順に配列したものが音階である。音楽の様式は時代や民族によってそれぞれに違っているので,その基礎となる音階にも多くの種類がある。西洋音楽では音階はすべてオクターブを枠として,この中に配列された音がオクターブごとに繰り返されるが,各地の民俗音楽やヨーロッパ以外の民族の音階には,オクターブを越えても反復しないものがあり,また完全4度あるいは完全5度のような小さい音域を音階の枠としているものもある。…
…演説が禁止されたことから歌によって主義主張を唱えたことにはじまるが,大正期に入って,その思想性がうすれ,大衆歌曲を意味するようになった。その旋律は,ほとんど〈ヨナ抜き音階〉で構成される。音階の4番目の音と7番目の音を欠いた音階で,明治期にドレミをヒフミと数詞でよんでいたことから〈ヨ(4),ナ(7)抜き〉といわれた。…
…東アジアでは古代中国以来,五声(宮・商・角・徴・羽)という用語で知られるドレミソラの音階が理論的に基本とされる。この音階は長音階の第4音と第7音が欠けているという理由で〈ヨナ抜き音階〉とも呼ばれるが,西洋中心の便宜的な俗称にすぎない。しかもこの半音なしのいわゆる陽音階(田舎節(いなかぶし))が5音音階の代表として一つのものと考えられがちであるが,いくつかのタイプが区別され,アジア各地,ヨーロッパ周辺部,アメリカ・インディアン等の音楽の特徴となっている。…
…歌のこと,あるいは歌をうたうこと。明治以前は,〈しょうが〉あるいは〈そうが〉と発音することが多く,証歌,章歌,正歌とも書いた。《万葉集》では歌詞をさして使われていたが,ふつうは《竹取物語》に〈あるいは笛を吹きあるいは歌をうたひ,あるいは唱歌をし……〉とあるように,歌詞のある歌をうたうのではなく,楽器の旋律やリズムを口で唱えうたうことを指していた(唱歌(しようが))。その楽器は笙(しよう),篳篥(ひちりき),竜笛,高麗笛(こまぶえ),能管,尺八などの管楽器が中心であった。…
※「ヨナ抜き音階」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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