改訂新版 世界大百科事典 「ラジャソリマン」の意味・わかりやすい解説
ラジャ・ソリマン
Raja Soliman
生没年:?-1571
フィリピンのマニラに築かれたイスラム社会の最後の支配者。フィリピン群島では14世紀後半に最初のイスラム社会が南端のホロ島に形成され,16世紀初めには北部の交易港マニラ湾周辺部にもイスラム社会が形成された。16世紀後半スペインの侵略が開始されたとき,パシグ川南岸のマニラにはラジャ・ソリマンの率いる大規模なムスリムのバランガイが存在し,パシグ川北岸のトンドには彼のおじラジャ・ドゥラRaja Dula(ラカン・ドゥラLakan Dula)の率いるムスリムのバランガイが存在した。2人はブルネイのスルタン家と親戚関係にあり,そこと密接な交流をもった。ラジャ・ソリマンは1570年,71年の2度にわたるスペインの侵略と果敢に戦って倒れ,71年以降マニラはスペイン植民地の主都となった。
執筆者:池端 雪浦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報