ラーナイト(英語表記)larnite

改訂新版 世界大百科事典 「ラーナイト」の意味・わかりやすい解説

ラーナイト
larnite

ジカルシウムケイ酸塩鉱物の代表的な一種。ラルン石ともいう。化学成分はCa2SiO4。窯業分野では化合物組成を表してC2S(ケイ酸二石灰)とも書き表す。セメント分野ではベリットbeliteの通称で呼ぶ。単斜晶系に属し,{100}にへき開明りょう。短柱状,粒状結晶となる。Ca2SiO4の組成にはα,α′,β,γが存在するが,ラーナイトはβ型の構造をもつ。比重3.28。無色,白色,灰色などを呈す。高温で生成したものが冷却する場合は変態を起こして崩壊する性質があるが,B2O3,Sなどの少量の固溶により安定化が行われる。ポルトランドセメントクリンカー,製鉄の際に発生する高炉スラグ,転炉スラグなどのケイ酸,石灰を主要成分とするスラグ類の主要構成鉱物である。天然では比較的まれに産出するが,その名称は発見地の北アイルランド北東部のラーンにちなむ。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android