日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リンケージ・ポリティックス
りんけーじぽりてぃっくす
linkage politics
一般に連繋(れんけい)政治と訳されている。この連繋政治論を1960年代後半に先駆的に唱えたのはアメリカの政治学者ローズノーJames N. Rosenau(1924― )であり、国内政治体系と国際政治体系が収斂(しゅうれん)する部分それ自体を分析対象とする理論であった。彼は70年代に入ると自らの方法論の行き詰まりから連繋政治論を放棄するが、その用語だけは今日広く用いられている。その際の一般的な意味は、相互浸透性を著しく増すことによって生じた国内政治と国際政治の連繋というものである。内政の外政化、外政の内政化とよばれる状況がまさに連繋政治を表すとするが、それに類することばとして国際、国内を結び付けたインターメスティックinter-mesticとの用語すらつくられている。しかし、一方、リンケージは、近年では便利な用語としてさまざまに用いられており、その意味はきわめて漠然としたものになっている。政治と経済の連繋といった意味に用いられることもあるし、また特殊な例では、アンゴラ駐留キューバ軍の撤退とナミビア独立選挙の実施をリンクさせたアメリカのリンケージ政策といった用いられ方もある。
[青木一能]