改訂新版 世界大百科事典 「ルーメリア」の意味・わかりやすい解説
ルーメリア
Rumelia
オスマン帝国のヨーロッパ領に対して与えられた一般的呼称。また,ソフィアを都とした州の名。ビザンティン帝国の人々が,自分たちをロマイオイRhōmaioi,国土をロマニアRhōmaniaと呼んでいたことから,ムスリムはビザンティン領をビラード・アッルーム(ローマの地,すなわちアラブからみればギリシア語の世界)と呼び,それは主としてアナトリアを指していた。トルコ族がアナトリアを征服した後,13世紀ごろからヨーロッパ人がアナトリアを〈トゥルクメニア〉,すなわち〈トルコ人の国〉と呼び始めると,ロマニアはビザンティン帝国に残されたヨーロッパ領を指す言葉となった。その後,トルコ人がビザンティンのヨーロッパ領を征服すると,今度はそこをルーム・エリと呼んだ。語源はトルコ語でルームRūm(ギリシアの)とエリeli(国)の合成語ルメリに由来する。ルーメリア州は現在のブルガリア,ギリシア,アルバニアの大部分とユーゴスラビア南部とを含み,オスマン帝国属州の最重要地に数えられた。
執筆者:永田 雄三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報