日本大百科全書(ニッポニカ) 「レコード賞」の意味・わかりやすい解説
レコード賞
れこーどしょう
record awards
演奏、企画、歴史的価値、録音技術などの面で優秀なレコードに授けられる賞。性格、目的、賞の授与者は多様であるが、クラシック音楽に限定する場合と、ポピュラー音楽、伝統音楽、文芸関係を含む場合に大別され、前者には特定の作曲家に限定した賞、特定の国で制作されたレコードに限った賞もある。運営は、日本の芸術祭賞に一時期レコード部門が設置されたように、国の文化政策として行われる例もあるが、音楽雑誌が批評家を審査員として実施する場合が多い。最初のレコード賞は、1932年にフランスの文芸週刊誌『キャンディド』が作曲家のラベルらを審査員に招いて実施、ジャン・コクトーの劇『声』がディスク大賞を受賞した。これは一時中断し、47年復活したが1回だけに終わった。1937年(昭和12)日本でも雑誌『ディスク』が「ディスク大賞」と「ディスク賞」の制度を導入した。第二次世界大戦の影響などでこれらは廃止されたが、戦後はフランス、アメリカで多くのレコード賞が設けられ、1960年代以後各国に広まり、意欲的な演奏と録音を鼓舞し、音楽界に刺激を与え続けている。
[美山良夫]