改訂新版 世界大百科事典 「レラキシン」の意味・わかりやすい解説
レラキシン
relaxin
卵巣の黄体で産生されるペプチドホルモン。リラキシンともいう。ヒト,ウマ,ウサギでは胎盤でも産生される。ニワトリの睾丸やサメの卵巣にも存在するといわれている。ヒソーF.J.Hisawは,1926年にモルモットの骨盤靱帯(じんたい)を弛緩する物質が,ブタ妊娠黄体中に存在することを記載し命名した。しかし,70年代に至るまで詳細は不明であった。ブタ黄体から抽出したレラキシンはアミノ酸22個のA鎖と,26個のB鎖が2ヵ所でS-S結合した構造で,その作用は,恥骨結合を弛緩し子宮頸管を拡張し,子宮収縮には抑制的に働く。また乳腺発育作用を有し,乳汁分泌には抑制的に働く。すなわちレラキシンは妊娠の継続を助け,産道を拡大し,妊娠・出産にそなえる働きを有すると考えられる。なおレラキシンは,動物の種類によってアミノ酸配列はかなり異なる。
執筆者:村上 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報