日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロッセルバトーレ・ロマーノ
ろっせるばとーれろまーの
L'Osservatore Romano
バチカン市国で発行される日刊紙(月曜休刊)で毎日午後3時に翌日の日付で発行されている。発行部数は少ない(約7万部。1999)が、ローマ法王庁の半官報として、全世界のカトリック教徒のみならず、政府指導者に注目されている有力紙。イタリア語が主だが、法王の発言全文には他の言語(ラテン語など)も使われ、解説や意見、報告が多いのが特徴である。日刊紙のほかに、週刊紙として毎月曜に1週間分の記事の抄録が5か国語(フランス語、スペイン語、英語、ポルトガル語、ドイツ語)で発行されている。1861年7月1日ローマで創刊され、初期のころはカトリック教と法王に対する中傷を反駁(はんばく)することなど政治的宗教新聞のたてまえをとったが、1929年バチカン市国が独立して以来、カトリック教会の権利擁護に専念、ファシスト党がイタリアを支配した1930年代も、妥協せず、客観的な態度を崩さなかった。
[春原昭彦]