法王(読み)ホウオウ

精選版 日本国語大辞典 「法王」の意味・読み・例文・類語

ほう‐おうホフワウ【法王】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 仏語。法門の王。仏法の世界の王。すなわち、仏の称。法皇。
      1. [初出の実例]「皇甫謐が百王を述べたる なほ法王の道には暗かりき〈大江朝綱〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)下)
      2. [その他の文献]〔法華経‐譬喩品〕
    2. 天平神護二年(七六六)称徳天皇が僧道鏡に授けた称号。法皇。
      1. [初出の実例]「詔曰、〈略〉太政大臣朕が大師に、法王の位授けまつらくと勅りたまふ天皇が御命を、諸聞食さへと宣る」(出典:続日本紀‐天平神護二年(766)一〇月二〇日・宣命)
    3. ほうおう(法皇)
      1. [初出の実例]「次参法王御所。晩頭帰宅」(出典:中右記‐承徳元年(1097)四月二〇日)
    4. 親王の唐名。〔運歩色葉(1548)〕
    5. ローマ‐カトリック教会の最高の聖職ローマ法王。法皇。教皇
      1. [初出の実例]「以太利〈略〉法王の召に応じて羅馬に往しが」(出典:官板バタビヤ新聞(1862)文久元年九月二三日)
  2. [ 2 ] 閻魔大王(えんまだいおう)の別名。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「法王」の解説

法王
ほうおう

766年(天平神護2)に道鏡のために創設された地位。称徳天皇は,隅(すみ)寺の毘沙門像からの仏舎利出現を道鏡の太政大臣禅師(ぜんじ)としての政治指導による功績とし,道鏡を法王とした。供御に準じる月料や法王宮職付置,また769年(神護景雲3)に西宮前殿で大臣らから拝賀をうけたことから,皇太子に準じる扱いであった。770年(宝亀元)に称徳天皇が没し,道鏡が追放されるとともに廃絶した。

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改訂新版 世界大百科事典 「法王」の意味・わかりやすい解説

法王 (ほうおう)

(1)釈迦仏陀)の尊称。(2)766年(天平神護2),称徳天皇が僧道鏡に授けた位。法皇とも書く。(3)法皇(ほうおう)に同じ。(4)ローマ法王(教皇)のこと。〈教皇〉の項を参照されたい。

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百科事典マイペディア 「法王」の意味・わかりやすい解説

法王【ほうおう】

教皇

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世界大百科事典(旧版)内の法王の言及

【教皇】より

…〈ローマ教皇〉〈ローマ法王〉ともいい,単に〈法王〉と記すこともある。ローマ司教,イエス・キリストの代理者,使徒ペテロの後継者,全カトリック教会の最高司祭,西欧総大司教,イタリア首座大司教,ローマ管区首都大司教,バチカン市国元首。…

【道鏡】より

…道鏡は9月20日大臣禅師に任ぜられて政権を握り,翌年(天平神護1)閏10月天皇の弓削寺行幸の際,太政大臣禅師に任ぜられた。僧侶が最高権力の地位についたのも異例であるが,さらに766年,法王という未曾有の官に任ぜられ,翌年法王宮職が設置された。月料は天皇の供御に准ぜられ,人臣最高の地位に昇った。…

【法王宮職】より

…767年(神護景雲1)に設置された令外官。道鏡が法王として家政と政務を執行した官庁。道鏡は766年(天平神護2)10月法王に任ぜられた。…

※「法王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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