改訂新版 世界大百科事典 「ロメイン」の意味・わかりやすい解説
ロメイン
Jan Marius Romein
生没年:1893-1962
オランダの歴史家。ロッテルダム生れ。ライデン大学でホイジンガに文化史を学び,1939年からアムステルダム大学教授として一般史,オランダ史,59年以降歴史理論を講じた。ロシア革命の強い影響のもとにマルクス主義,国際共産主義運動にひきつけられ,オランダ共産党に入党して党機関誌《トリビューン》の編集に従事した。24年学位を得てのち,妻アニーと共著で《海辺の低地》(1934),《わが国の文化を築いた人びと》4巻(1938-40)を公刊し多くの読者を得た。1930年代から歴史理論の体系化に関心を示し,第2次世界大戦の戦中,戦後に多数の論文を発表。伝統的な歴史哲学に対して自己の立場を〈理論史〉と称し,専門化し過ぎた伝統的歴史学を鋭く批判し,総合的歴史叙述を唱えた。彼はまたヨーロッパ中心史観を批判し1900年を境とする〈ヨーロッパの秋〉と〈アジアの覚醒〉を説き,《アジアの世紀》(1956。邦訳1961)を発表した。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報