英語 century の訳語としては、当初「百年」「世期」などさまざまな語があり、「世紀」の早い例は、「万法精理」(一八七六)の鈴木唯一訳述の部分に一例見えるが、「世期」の誤表記とも考えられる。②の挙例の「社会平権論」の凡例にも見えるが、本文中には現われず、ようやく明治一五年(一八八二)ごろから、新聞・雑誌の記事、書名、辞書の訳語などに使われるようになった。
100年を単位として西暦を数える方法で,20世紀は1901年の元旦に始まり2000年の大晦日に終わる。
語源的には,冒頭にあげたヨーロッパ諸語の場合はいずれも,〈100(年)〉を表す語に由来する。ラテン語saeculum(世代,時代,100年などの意)から生じた古フランス語がもっとも早く,すでに12世紀には使用されていたようであるが,近代語としてはいずれの言語においても,17世紀の前半には100年を区切りとする時代表示に使われた。また第17世紀というような序数としての年代表示も,同じ世紀には出現する。また,ボルテールの作品《ルイ14世の世紀》というような時代をさす呼称としての用法も,行われていた。
世紀のように割切れのよい年数ごとに時代を区切って祝祭を行うならわしは,ユダヤ教の〈ヨベルの年〉にみられ,この場合は50年を区切りとしている。キリスト教にあっては,その伝統が聖年として継承され,教皇ボニファティウス8世が,西暦1300年を機として,100年単位の聖年を正式に制定した。これはのちに25年ごとにあらためられて,カトリック教会では現在まで受けつがれている。こうして,世紀の開始や終了はしばしば,ひとつの時代,世代の開始,終了をしめす象徴的な意味を帯びるにいたった。とりわけ19世紀の終了は〈世紀末〉と観念されて,退嬰的な雰囲気を助長した。同様のことは20世紀の〈世紀末〉にも生起しつつある。
同様の計数法は1000年区切りにも適用される。ユダヤ教の伝統をうけてキリスト教は,1000年間をイエスの到来(または復活)から再来(再臨)までの期間とみなし,または,イエス再来後に実現する至福の継続期間とみなした。前者の考えは,かつて西暦1000年の直前に現実性をもち,また後者はいわゆる千年王国説に根拠をあたえた。現代ではこの計数法は,考古学等において,前2千年紀(前2000-前1001年)というような〈千年紀millennium〉という表示法として使用されている。
執筆者:樺山 紘一 中国語の〈世紀〉は,《帝王世紀》(西晋の皇甫謐(こうほひつ)の著)という書名に残るように〈世系の記録〉を意味した。〈世〉そのものは30年を指す。centuryの訳語として〈世紀〉をあてたのは,日本においてであった。1874年刊の《明六雑誌》所載の中村正直《西学一斑》には16世紀を〈第十六回百年(千五百一年至千六百年)〉と表現していたが,ヘボン《和英語林集成》(1886)の3版になると,centuryに〈世紀〉の訳語をあてている。このころより世紀の語は定着していったようである。中国でも,最初は一周年を意味する〈稘〉の字をあてたが,厳復の訳した《原富》(アダム・スミスの《国富論》)にみられるように日本の訳語をやがて使用するにいたった。
執筆者:山本 徹
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21世紀は2001年から2100年までというように,100年を一つの単位として西暦を数える方法。「世紀」を意味する単語がヨーロッパの言語に現れたのは,17世紀前半とされる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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